青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
絶句する俺はギギギッ、オイル切れのロボットのようにぎこちなく首を動かしてヨウをジトーッと見つめる。
視線から逃げるヨウは「あん時は若かった」俺も馬鹿だったからな、と引き攣り笑いの誤魔化し笑い。
なあにが若かったで、馬鹿だった、だ。
この思いつき行動魔め。
今もお馬鹿なことはするだろっ!
ちょっとはマシになったけど、やっぱ馬鹿なことはする直球型不良だよ、お前は!
呆れ返る俺だけど、「ヨウさんの戦利品になれて良かったと思ってるんだ」モトは微笑を零して目を伏せた。
だって戦利品になってからずっと、ずっと、ずっと、自分のことを弟分として可愛がってくれたんだから、と。
最初こそ荒川庸一のパシリにされるかと思っていたけれど、兄分はパシリとじゃなく弟分として、仲間として受け入れてくれた。
楽しいことにいつも誘ってくれ、何かと強引に腕を引いてその面白い景色を見せてくれた。
それが堪らなく嬉しかったのだと、モトは瞼を持ち上げて頬を崩す。
自分に何かあれば駆けつけてくれたし、相談にも乗ってくれた。
とてもとても懐の広い人なんだって気付いたモトは、心の底からヨウを慕うようになり、その背中を追い駆けるようになったらしい。
こんな人になりたい、大きなおおきな目標を見つけたとか。
日賀野達と対峙した時も迷わず自分は兄分について行った。
何故なら、自分に素晴らしい世界を提供してくれた人と離れたくなかったから。
この人のためなら何だってしよう、モトは胸にいつも刻んでいるらしい。
それが自分の兄分に対する恩返しなのだと恍惚に語るモトは、「だから分かるんだ」楠本の気持ち、と失笑を零す。
誰かのせいで兄分が消えてしまったらオレも復讐に走るんじゃないかな。
それこそ楠本のように。居場所をくれた人なら、尚更だよな。他人事のように吐露する。
「そうすることで感情処理をしてるのかもな。やり場ないじゃん? そういうの。やきもきするっていうのかな?
だからオレ、誰かさんに初対面で喧嘩を売ったんだけどさ。ヨウさんに気に入れられてるそいつ、チョー気に食わなかったんだよ。存在自体が苛立ちの素っていうか」