青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
盛大な舌打ちを鳴らすモトは、ギッと怖い顔で俺を睨んでくる。
目…、目が据わってるんだけど。
「くそっ、毎度思ってるけどさ、なーんでヨウさんの舎弟らしくしねぇんだよ!」
らしくしたら、アンタもちょっとはワルな面でプラスになるっつーのにっ、わざわざマイナスなことばっかしやがってっ…ああ腹が立つ!
悩んじまったら変に一線は引くわ、悪く言われてもダサいままを貫くわっ、一々世話を焼かすわっ。
アンタっ、マジムカつく、マジ信じらんねぇ!
人をこんなにもイッライライラさせやがってっ、このダメダメダメダメダメ舎弟!
アンタ、オレを苛立たせる天才だな!
ガチ、その真面目腐れた根性をどうにかしろっつーのっ!
てか、もうオレがどーにかする!
そっちの方が手っ取り早い!
……なに、遠慮する?
るっさいっ!
アンタがどう言おうとオレの知ったことか! オレはオレのしたいようにするっつーの!
オレに何かされたくなかったら、今すぐ此処で誓え。
馬鹿にした奴等を見返してやるって。
陰湿陰険卑怯な手がおてものだって陰口を叩いてる奴等を見返すってオレに約束しろ。大概でウンザリしてるんだよ、アンタの噂。アンタの偽者が一年をカツアゲしたせいで、ヨウさん以上に悪評だぞ。知ってるのか? なあ?
そりゃ聞き流すのも手だろうさ、噂を気にしないのも手だろうし、言いたい奴には言わせておくのも手だろうけど。
でも、流す前にそれなりのことはしてもいいだろ!
気分悪いんだよ、仲の良い奴を誰彼に悪く言われるのって。
なんでオレがこんなにも悔しい思いをしないといけないんだよ!
アンタ、なんも分かってないだろ!
「あんま手を焼かせるなっつーのっ。
アンタがそうやってダメ男だから、オレが余計な世話焼かなきゃいけなくなるだろっ」
完全に思考停止している俺と、目を点々にしている傍観者二名、ゼェゼェと息をついている興奮状態の説教主。
四者四様の反応の中、モトは胸倉を握り締めていた手が弱めて、おもむろにボタンに指が掛けてきた。