青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
「ゲッ、お、お前ナニしてくれてっ、」
「アンタのために制服崩してやってんだろぉおお! 動くなっつーの!
…っ、せめてきっちり締めてるネクタイを取ってっ、シャツのボタンっ…、こっからだとやっり難い! ケイ、こっち来い!」
「い、いいって。じ、自分でや「らないだろぉおお! そうやっていつも受け流すって分かってるんだからなぁあああ!」
ははっ、モトさん…素晴らしいです。
俺の性格をよく熟知しているようですね。花丸満点。
動こうとしない俺に焦れたモトは勢いのままキヨタにそこを退けと一喝。
剣幕に負けたキヨタは反射的に「はいッス!」と返事して、そそくさと席移動。
ちょ、行かないでくれよっ、愛すべき弟分!
ブラザー、カムバーック!
こいつが隣に来るとかチョー嫌でめんどくさっ…、来たし。
容赦ない拳骨を落としてくるモトは俺の耳を引っ張って自分の方に体を向けさせた後、ムッスリ顔で制服を着崩し始めた。
イ゛ッテー、お前、先輩に対しての行為じゃない。
全然加減してくれてねぇだろ。ガチ痛い。
「邪魔」
ポイっとネクタイを俺に放ってくるモトは、それ付けるの禁止だと指差してくる。
えー…、これ付けないと服装違反じゃんかよ。
俺の訴えに空手チョップが落ちてきた。アウチ…、痛いんだぜ。
じゃ、じゃあせめてシャツのボタンは勘弁してくれても、なんか開襟するの変な感じだし。
控えめに訴えに言えばモトの軽い肘鉄砲。
軽いながらも鳩尾を突いてくるもんだから、俺は痛いと呻き声を上げる。却下らしい。
なんだよ、前まで全然この服装で口出さなかったっていうのに…、そんなにピアスと真面目服装はミスマッチなのか?
ピアスなんてちょこーんと耳に穴があけて飾るだけだろ?
ちっちゃい装身具のせいで全体像が大幅イメージダウンっての、そうはないと思うんだけど。
どーせ元々荒川の舎弟って時点で良いイメージではなかったし、服装その他諸々で悪く言われるの慣れてるし。
ヨウのイメージがダウンするってわけでもないし。
悔しいって思ってくれるのは嬉しいけど。