青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
「ほら、これで良い。もうダサい恰好すんなよ? これも約束だぞ」
肩を叩いてくるモトを一瞥。
ダラりんダラしなくなった制服を流し目にした後、視線を戻して、
「分かった。約束するよ」
俺は一笑を零す。
こんなにも過大評価されちまって持ち上げられちまったら、約束をせざるを得ないだろ?
却下するとかダッサイじゃんか。
それに恰好や見返すってのは無理だとしても、一つだけ絶対に約束できそうだ。
他の仲間に変な一線を引かないって、その約束は。
俺の悪い癖は今まで主にヨウが指摘してくれていた。
だから必然とヨウばっかに頼って、あれやこれやアドバイスしてもらってたんだけど…、他の奴等も俺の駄目な点に気付いてくれてるんだよな。
モトだってそうだし(最初に俺の悪い癖を指摘してくれたのはこいつだったっけ)、現状に寂しいって陰で嘆いてるどっかの誰かさんも常々気付いてくれていたに違いない。
だから俺は改めて約束して、自分の悪い癖を見つめ直す。
―――…仲間を信じてみたらいい。
そう、気鬱を抱いている蓮さんに偉そうなこと言ったけど、俺自身も、もっと仲間のこと、信じてみよう。
人って厄介な生き物だから悪いと思ってもなかなか癖は直せない。
でも、意識して直す努力は出来るから。
今日言われた、キヨタやモトの言葉を胸に刻んで、もっかい見つめ直してみよう。
「そっろそろ会話に入っても良さそうか?」
完全に傍観者に回っていたヨウが面白そうに笑いながら頬杖をついてきた。
キャツの隣でアップルパイを頬張っているキヨタは、なんとも複雑そうな顔をしている。
モトの行動に嫉妬半分、感謝半分ってところかな?
モトは親友のお前のために俺に物申してくれたしな。
ま、不安にさせた元凶は俺だけどさ。
「言われちまったな、ケイ」
先輩の面子台無しだぞ、っと茶化してくる舎兄に、
「モトはお前の弟分だからな」
先輩の垣根も取っ払っちまうさ、茶化し攻撃をさらっと受け流して意見。