青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
一々気にしてたらやってられないぞ、俺の能天気発言に利二は呆れて肩を竦めた。
こうして何事も無く教室を離脱。
いや、正しく教室を飛び出してBダッシュをしたから、事が起きる前に離脱成功。
教室から前橋の怒声が聞こえた気もしたけど、今は、今は教師の怒りに構ってられなかった。
だって浅倉さんがヤられたんだっ、あの楠本に。
向こうチームは騒然となっているに違いない。
―…何より、蓮さんが心配だ。
(ナイーブになってたからな蓮さん。……、まさか楠本は故意的に浅倉さんを狙って?)
可能性は大だな。
厭に高鳴る鼓動を抑える術もなく、俺は廊下を駆けながら携帯を取り出した。
電話を掛けるのは俺等のチームで他校に通っている仲間達―…。
浅倉さん達のたむろ場は交差点四つ角、某ビル二階ビリヤード場だ。
古汚い倉庫や有り触れた喧(かまびす)しいゲーセンを拠点にしている俺達と違って、向こうチームは室内にたむろ場を設けている。
超贅沢だと思うよ。
だって室内、しかもビリヤード場を拠点に出来るなんてさ。
誰かのコネで拠点にしてるんだろうけど、堂々悠々室内にたむろ場を設けている浅倉さん達は羨ましい。
狭い階段を上った向こう。
二チームを受け入れてくれる広々としたビリヤード場で、四時ピッタシに集会が始まった。
仕切っているのはヨウと涼さん。浅倉さんの姿は見えない。
彼は病院で手当てを受けているそうだ。
幸い、頭部を三針縫う程度の怪我らしく、入院にまでは至っていないそうだ。
詳細を聞くと浅倉さんはとある路地裏で楠本、もしくは率いる仲間にやられたそうな。
彼がなんで路地裏に赴いたかっていうと、そこで仲間がヤられたと情報が入ったため。
心配して助けに来た浅倉さんに奇襲を掛けたって寸法だ。
浅倉さん以外にも仲間はいたそうだけど、皆、ヤられてしまったとか。なんだかゲリラ戦を聞いている気分だ。
「多分楠本は」
自分達の支配下にしている“廃墟の住処”でどんちゃんする予定は毛頭ないんだろう、と桔平さん。