青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
チームにいた頃はいつもべったりと榊原に付いていたそうだけど、フリーだった頃はのらりくらり街を彷徨っていたそうな。
それに一点に留まっているとうらみつらみを買った不良達に喧嘩を売られてしまい、それが面倒くさく、あっちこっち街を転々としていたそうだ。
本人に直接聞いた事がある、と蓮さん。
なるほど、相槌を打つ俺は少しばかり口を閉ざした。街を転々とね。
……可能性は大きくなったな。
もしも、俺の予想が当たっていたらこれはちょっとばかし厄介だぞ。
あくまでまだ可能性の話だから、意見することはできないけど。
もう少し情報が欲しい俺は、
「もう少しだけ待ってください」
時機が来たら蓮さんを呼んでヨウに物申すから、と頼む。
不満気に、でも理解を示してくれる蓮さんは分かったとだけ返答してくれた。
ごめんなさい、蓮さん。
すぐにでも知りたいだろうに…、でもこういう事態だからこそ慎重に事を進めないといけないと思うから。
だからもう少しだけ待っていて下さい。
片隅でやり取りを交わしている間も、ヨウと涼さんは仲間達に指示を送っていた。
奇襲を掛けては、どこかへと隠れる楠本チームをこれ以上野放しにしておけない。
できるだけ情報網を張って奴等の足跡を探り、畳み掛ける準備をする。と。
地道なやり方だけどこれしか方法がない。
なにせこっちは楠本情報が不足しているのだから。
ただし、偵察・情報収集をするのは主に荒川チームが担当することになった。
何故なら浅倉チームは“廃墟の住処”の件があるからだ。
支配下に置いている商店街は、不良達の間では人気スポット。狙われやすいテリトリーだ。
リーダーの浅倉さんが不在の今、噂を聞きつけた他のチームが強奪しないとも限らない。
話を聞けば、一昨日も“廃墟の住処”は他のチームに狙われたらしい。
楠本達とのいざこざを聞いて、隙を突こうとしたんだろう。
折角“エリア戦争”の勝者になって、その土地を手にしたんだ。
絶対に手放して欲しくない。