青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―


とはいえ、神出鬼没な奴等をどう偵察するか見当も付かないから、取り敢えず何手かに分かれて近所を徘徊するってことになった。

徘徊している間に情報が入手できたら儲けものだろう。

仲間がバイク、徒歩で偵察を始める中、俺は愛チャリを漕いで、四つ角近場の路地裏に入る。

生臭いような湿気たような臭いが立ち込める路地裏は、ジメジメとした空間そのもの。

入ってすぐチャリを止めた俺はグルッと視界を見渡し、眉根を寄せた。
んー、此処らへんは無理か。


「ケイ。焦らすなっつーの」


ヨウに呼ばれて、俺は振り返る。

説明を求めてくるリーダーの顔にごめんごめんと苦笑いを零して、ペダルに足を掛けた。

シャーシャーっと音を奏でながら前進し始めるチャリ、乗組員の俺は同乗しているヨウに「ちょい見てみたくなってさ」と話を切り出す。
 

「楠本が現れたって場所をさ、この目で見たくなって同行させてもらったんだ」

「それだけか? 大したことなのか、それ」

「んー、大したことないかもしれないし、大したことあるかもしれない」


「なんだそりゃ?」詳しい説明を求めてくるリーダーに、

「ちょい俺に考える時間をくれ」もしかしたら間違ってるかもしれないし、ハンドルを右に切って路地裏から大通りに飛び出す。


「わーったよ。リョーカイだ」


テメェに任せた。
そう言ってくれる舎兄。さすがはリーダー、俺に考える猶予をくれた。

こうやってジミニャーノな俺にも信用を置いてくれるんだから、器が広い。頼りになるぜ。
 

偵察をしつつ、俺はチャリを楠本の出現場所に向けた。

 
楠本の出現場所は主に路地裏や裏道、空き地。奇襲場所も以下同文。

奴は人気の無い場所に出現しやすいようだ。

人目を避けたいから閑寂な場所を選んでいるんだろう。
ヨウはそう意見を零していたけど、俺は土地土地を回って抱いていた可能性を膨張させていた。
 

一時間ほどの徘徊の末、俺達は収穫もないまま浅倉チームのたむろ場に帰還。

他組と合流して、収穫を確かめ合った。
 
< 194 / 804 >

この作品をシェア

pagetop