青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
とはいえ、神出鬼没な奴等をどう偵察するか見当も付かないから、取り敢えず何手かに分かれて近所を徘徊するってことになった。
徘徊している間に情報が入手できたら儲けものだろう。
仲間がバイク、徒歩で偵察を始める中、俺は愛チャリを漕いで、四つ角近場の路地裏に入る。
生臭いような湿気たような臭いが立ち込める路地裏は、ジメジメとした空間そのもの。
入ってすぐチャリを止めた俺はグルッと視界を見渡し、眉根を寄せた。
んー、此処らへんは無理か。
「ケイ。焦らすなっつーの」
ヨウに呼ばれて、俺は振り返る。
説明を求めてくるリーダーの顔にごめんごめんと苦笑いを零して、ペダルに足を掛けた。
シャーシャーっと音を奏でながら前進し始めるチャリ、乗組員の俺は同乗しているヨウに「ちょい見てみたくなってさ」と話を切り出す。
「楠本が現れたって場所をさ、この目で見たくなって同行させてもらったんだ」
「それだけか? 大したことなのか、それ」
「んー、大したことないかもしれないし、大したことあるかもしれない」
「なんだそりゃ?」詳しい説明を求めてくるリーダーに、
「ちょい俺に考える時間をくれ」もしかしたら間違ってるかもしれないし、ハンドルを右に切って路地裏から大通りに飛び出す。
「わーったよ。リョーカイだ」
テメェに任せた。
そう言ってくれる舎兄。さすがはリーダー、俺に考える猶予をくれた。
こうやってジミニャーノな俺にも信用を置いてくれるんだから、器が広い。頼りになるぜ。
偵察をしつつ、俺はチャリを楠本の出現場所に向けた。
楠本の出現場所は主に路地裏や裏道、空き地。奇襲場所も以下同文。
奴は人気の無い場所に出現しやすいようだ。
人目を避けたいから閑寂な場所を選んでいるんだろう。
ヨウはそう意見を零していたけど、俺は土地土地を回って抱いていた可能性を膨張させていた。
一時間ほどの徘徊の末、俺達は収穫もないまま浅倉チームのたむろ場に帰還。
他組と合流して、収穫を確かめ合った。