青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
すると一組が楠本チームらしき不良に襲われかけたという。
場所は小学校近くの神社南口。
またしても奇襲を掛けられたらしく、味方側は軽く負傷していた。
だけど向こうに大きな痛手を食らわせたから、敵の方が先にトンズラしたとか。
当然追い駆けたらしいんだけど、あっちゅう間に逃げられてしまったらしい。
「そうすぐに見失うか?」誰かが妥当な意見を零していたけど、「瞬く間だったんだって」曲がり角を曲がったらもういなかった。
と、その組は主張。
必死さからして真実なのだと察する事が出来る。
意見が飛び交う中、俺は部屋の隅に腰を下ろして地図を広げてその場所に印を入れた。
小学校近くの神社南口…、付近には住宅が多数。一軒家ばっかあるみたいだ。
負傷した人間があっという間に逃げられそうな道らしき、道はなさそうだけど、あくまでこれは地図上の話だ。
紙切れの情報と現場は若干異なっているわけで。
腕を組んで地図を睨めっこしていた俺は、今しばらく一人で考え込んでいた。
情報収集組が戻ってくるまでジーッと考える人のように考え、彼等が戻って来ると情報を共有してもらう。
楠本の目撃現場とか、他のチームの不良が襲われた話とか、そういった事細かな話を聞き、黙々と地図に必要な情報を記載していく。
あらかた情報を記入し終わり、胡坐を掻いて広げた地図を眺めていると、「ケイ」仲間に声を掛けられた。香水の匂いからしてハジメだと分かる。
向かい側で胡坐を掻くハジメは、俺が何に対して考え込んでいるのか見越したようだ。
「どっちが上だい?」問い掛けに、「喧嘩に対しては向こうだ」参ったと肩を竦めて壁に凭れた。
「そうか」
荒川チームのお得意戦術のひとつが使えないんだね、ハジメの苦笑に俺も苦笑。
間を置いて、俺は地図を畳むとリーダーに報告してくると腰を上げた。
「ハジメも一緒に来て欲しい」
説明できないところをフォローしてくれ、俺の誘いに了解だとハジメ。
ゆっくりと腰を上げて、俺について来てくれる。
向かうはビリヤード台で副リーダーと話し合っている我等がリーダーの下。