青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―


その際、俺は蓮さん、桔平さんに声を掛けた。

 
蓮さんとは約束していたし、同じ舎弟の桔平さんにもこの状況は聞いて欲しかった。

後は荒川チームの副リーダー、頭脳派に回っている響子さん、ワタルさんにも声掛け。

残りのメンバーは後から俺の意見を聞いてもらうことにする。
まずは頭脳派やリーダー達に意見を聞いて欲しかったし、何かあれば意見して欲しかったから。

メンバーを集めた俺はやや緊張しつつ(こういった皆の前で意見を出すって未だに慣れてない)、ビリヤード台で地図を広げて早速語り部に立った。
 

「楠本の出現場所を地図に書き出してみた。あいつ、大抵人気の無い場所ばっかりに出現してるんだけど…、この場所、全部奇襲を仕掛けやすいところなんだ」

「奇襲を仕掛けやすいところ?」
 

首を傾げるヨウに、「例えばさ」俺は片人差し指を立てて、想像してみて欲しいとリーダーに視線を留める。
 

「俺とヨウが喧嘩を売ろうと奇襲に乗り出した。場所は路地裏にしようってことになったんだけど…、その際、一本道の路地裏と、入り組んだ路地裏、お前ならどっちを選ぶ?」

「そりゃ入り組んだ路地裏じゃね?
奇襲を仕掛けるとしたら、そっちの方が有利だしな。奇襲にも種類はあると思うが、基本奇襲戦法は相手にバレねぇように行動するのが鉄則だ。バレたら奇襲じゃねえし」


「ご名答。楠本もそれを踏んで、奇襲の仕掛けやすい土地を選んでいる」
 

それだけじゃない。

奇襲を仕掛けて、仮に失敗してもトンズラできるよう近場に抜け道がある場所を選択している。

これってどういうことか分かるか?

奴は並々ならぬ優れた土地勘を持っているってことだ。

奇襲戦法しつつ、足取りや情報がなっかなか掴めないってことは、それだけ相手を撒く地形図を頭に叩き込んでいるということ。

話に聞けば楠本はフリー時代、街を転々としていたらしいから、その時に土地勘を伸ばしていったんだと思う。
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