青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―


「あ、確かに楠本、地元にはめっちゃ詳しかったな。
涼、蓮、あいつって知らない場所なんてないってくらい、地元に詳しかったよな?」


桔平さんが思い出したようにポンッと手を叩く。

同調する二人は道に関しては大抵のことに答えられたよな、と相槌を打った。

なるほどね、頷くヨウだけど、

「これ。問題あるのか?」

腕を組んで素朴な疑問をぶつけてきた。
  

「土地勘に関して言えば、こっちだって有利じゃねえか。ケイがいるんだし」

「それが不利なんだよ。俺の土地勘と楠本の土地勘は同じようで相反してるんだ」

「違う? どこが?」
 

「ねえヨウ、なんでケイが土地勘が優れてると思う?」


と、ここで口を挟んできたのはハジメ。

此処で素朴な疑問返しとしてなんで俺が土地勘が優れているのかを問う。

「なんでって」地元の土地に詳しいからじゃねえか、目的地を最短ルートで行ってくれるし、と訝しげに返答。
 
まったくもってそのとおりだと、ハジメは頷いた。
 


「ケイも楠本同様に土地勘に優れている。おかげで荒川チームの戦術の特徴のひとつに、地を攻めるって戦法があるくらいだ。
君と肩を並べるヤマトもこの地を攻める戦術を懸念したし、“エリア戦争”も“五十嵐戦”も地を攻めて勝利を得た面が大きいわけだけど…。

今回ばっかりはこの戦術が使えそうにないんだ」


「はあ? なんで」



意味不明だぞ、もっと噛み砕いて説明しろとのたまうヨウにワタルさんが指を鳴らして頭上に豆電球を明滅させた。

「俺サマターイム」

なんて、あらあら、喧嘩の時に現れるワタルさんが出てきちまった。
口調がやや高飛車だ。
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