青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―

心中で呆れていると、「ケイとタコ沢を組ませようぜ」響子さんがすったもんだなことを言ってきた。


目を点、次いで「はい?」、最後に「何を言い出すんですかっ!」完全に狼狽しちまう。


いやだってっ、ちょ、お、おぉおお俺があのっ、た、た、タコ沢と組めとっ、うぇええええい?!

響子さんは俺に死ねと仰るんですかっ、あやつは俺をフルボッコにしたい願望をお持ちなんっすけど!

そ、そりゃあ、日賀野と組んだこともあるから大丈夫なんじゃね? って言われりゃ、大丈夫かもしれないけど、いやでもやっぱ願い下げしたいっていうかぁあああ!

冷汗滝汗何汗を流す俺に、「なんか文句でもあるか?」ニッと響子さんが極上の笑顔を向ける。
 
「ケイ、あんた。この喧嘩、早く終わらせたいだろ?」

「え?」
 
 
「喧嘩を終わらせて、早く平穏な日常生活に戻りたいよなー? まっさか気付いてないわけじゃないよなー?

ココロが『喧嘩ですか。じゃあケイさんといられる時間、割かれちゃいますね』とか言ってションボリ肩を落としていることにっ、気付いてないとかほざくわけじゃ。なあ?

どっかの馬鹿彼氏さんはな、すーぐ喧嘩や男友達のとこに行っちまって、なーっかなか二人だけの時間を作ってくれないようだが。

んーんーんー、ウチの気のせいだよな? あーん?」

 
気のせいじゃなかったらどうしてくれようかな、パキッと両手の関節を鳴らす響子さんは俺の肩に手を置いて「な、ケイ?」と笑みを向けてくる。

ひ、左肩が超痛いのは俺の気のせいじゃないですよねっ。


うううっ、ご、ごめんなさい。か、彼女に寂しい思いさせてごめんなさいっ、一応これでも考慮しているつもりでッ…、イダダダダッ、か、肩が砕ける!


「た、タコ沢と組みます」


早く喧嘩終わらせたいです、カタコトで返答すれば、「だよな」よしと満面の笑顔を作る響子さん。
 

これぞ姑に弄られる嫁の気分だよな。解放された俺は、

「わ、ワタルさーん!」

真っ先に近くにいたワタルさんに泣きついた。
「あーよしよし」慰めてくれるワタルさんは、怖いお姑さんを貰っちゃったね、同情はするぴょんと声を掛けてくれる。
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