青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―


その1、この手でいくとやたら土地を把握する時間と不良達の動きを探る時間に手間取られてしまい、その間にも楠本達が奇襲を繰り返すかもしれないということ。

状況を把握している間にも奇襲を繰り返され、痛手を負いかねない。
 

その2、地元をチェックするということは土地に赴く必要になる。

本当に奇襲を掛けやすい地なのか、その目で見ないと分からないことも多々あるだろう。

また奇襲返しをするにあたって、その地をどう利用するかも考えないといけない。ということは土地に赴く人間が危険に見舞われるということだ。

オトリをする組もそうだけど、赴く組もしている最中に襲われないとも限らない。


最悪、此方の目論見に気付かれてしまう可能性もある。


目論みに気付かれる事が何より厄介だ。

良い案ではあるけどリスクも高い。


染めたシルバーの髪をボサボサに乱し、

「奇襲返しに至るまでの動きは小さい方がいいと思うしね」

ハジメはこうのたまった。
 

確かに手間と時間と危険が伴うよな…、この作戦。


でも他に作戦があるとも思えないし。


暫し沈黙が流れた後、我等がリーダーは賛同の意思を見せた。
   

「俺は響子の案に賛成する。多少のリスクは仕方のないことだし、他に案もねぇ。
どうにか一日で土地をあらかた把握するってことだけでもできねぇかな?
把握さえできちまえば、不良の動きは後からなんとでも結び付けられるだろ?

奇襲だってそう、ポンポンできるもんじゃねえしな。
奴等が何処に現れるかの目処を立たせることくれぇはしてぇ」
  

ヨウのご意見に、「ばってんどげんするとよ」涼さんが反論。
 
一日で土地を把握なんて、そうできることではないし、ハジメの言うとおり奇襲返しに至るまでの動きは小さい方が良い。

少人数規模で、けれど一日で把握できる方法なんてあるのか、涼さんの意見に俺は口出す。


「これからすぐ俺とタコ沢で動きます」と。


あんましたくねぇけど、この際、そうも言ってられない。現場には俺が、不良の動きはタコ沢が、各々仕事を引き受けると申し出。
 
< 202 / 804 >

この作品をシェア

pagetop