青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
「こら利二、何処に行くんだ! まさか名前、書き直すつもりじゃないだろうな? なー?」
「……。……。田山、人は誰でも自分が可愛いものだ。できることなら、人様の思い付きに振り回されたくない自分の切な心情。行かせてくれ」
「逃がさないっ、逃がさないぞ! 利二は俺と一緒に死んでくれるって信じてるっ!」
「田山、友を地獄へと道連れにしても良いと思っているのか?」
「ひとりよりもふたりで地獄! 俺は利二を道連れにすると決めた! 地味不良だろ、俺等!」
「お前と一緒にするな」「するさ、お友達だもの!」「放せ田山」「死んだってヤだ!」
ブンブン腕を振り払おうとする利二と、ブンブンかぶりを振る俺の攻防戦。放せ放さないの一点張りに平行線だ。
その光景を見たヨウが、「何やってるんだよ」ガキくせぇぜ、と兄貴らしく注意。
ピシッと硬直する俺等に、ヤーレヤレと肩を竦める始末。
「不良の俺が言えることでもねぇけど、今は授業中だぜ? あんま騒いだら先公がうっせぇぞ」
途端に俺と利二はひっそりとこめかみに青筋を立てた。
まさか不良に注意されるとは…、てか、誰のせいでこんなことになったとっ…、いっちゃんガキくさいのはお前の思い付き行動だろ!
ああくそっ、こいつ、いっぺん殴ったろうかっ。できねぇけどできねぇけどできねぇけどっ、その爽やかイケメン面を殴ってやりたいぞなもし!
「殴りたいんだけど」
「無理だとは分かっていても、同調はする」
俺と利二は軽く握り拳を作って不良をジトーッと見据える。
「?」頭上にクエッションマークを浮かべる不良はキョトン顔で俺等を見つめ返してきた。
その顔でさえ容姿端麗なもんだから、俺等は更に青筋を立てる羽目になった。
怒りにプラス、嫉妬心が交じっていたことは言うまでも無いだろう。