青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
ヘタレてるな、蓮さんの問い掛けに俺は首を横に振る。
仮にそれができたとしても、傷付いて後悔するのはやっぱり蓮さんだ。
できなくていいんだと思う。
楠本の事でこんなにも一憂しているんだ。
蓮さんにはできなくていい。
どうして、こう、蓮さん達は傷付くことばかり繰り返されるんだろう? もう十二分に苦しんだのに。
これ以上傷付いて欲しくない。
片隅で思っていると、「ケイの言うとおりだった」と蓮さんが口を開いてきた。
何の話だろう、瞬きして相手を見つめれば、「怒られちまった」蓮さんは幾分明るい声音で言う。
「チームに戻らなきゃ良かった。そう、和彦さんに言ったら怒られちまったよ。カッコつけて逃げるな、だってさ。
ケイの言うとおり、カッコつけるなって怒られちまった。
ははっ、カッコつけていたわけじゃないのになぁ。参ったよ」
「蓮さん…」
「自責して逃げていただけなのかもな、俺。これからも自責しては逃げるかもしんねぇ。そっちの方が気が楽だからさ、俺のせいだ、くそう、もう駄目だ。とか言って、逃げちまうのかもしれない。
けど、その度に和彦さん達が現実を見ろって止めてくるんだろうな。皆、優しくないよな。ケイもそのヒトリだぞ」
ちょっとは俺に優しくしてくれよ、蓮さんの訴えに俺は即座にNO。
「俺はお人好しじゃないんで」っと目尻を下げた。
蓮さんは俺に言ってくれる。
これからも自責を繰り返すだろうけど、どうにか立ち直り、浅倉の舎弟としてやっていけそうだ。
というかやっていかないと、皆から怒られてしまう。
「楠本の件も」
ゆっくり悩んでいこうと思う、蓮さんは苦笑交じりに肩を竦めた。
これは自分ひとりのことじゃない、チームのことだから、舎兄達と悩んでいこうと思う。
た楠本のことでゴタゴタしたらその時はその時、舎兄達と目一杯立ち向かっていくつもりなのだと蓮さんは告げてきた。
「楠本とは今度こそ…、こんどこそ」
俺が心配していたほど、蓮さんは落ち込んじゃないらしい。
そりゃ落ち込んではいるけど、前向きな落ち込み方をしている。表現はおかしいけどさ。
今はまだ暫く落ち込んで日々を過ごすだろうけど、蓮さんならきっと大丈夫だ。断言できる。蓮さんなら大丈夫。