青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―


「心配してきてくれてサンキュな。俺、随分立ち直った方だから。けど折角だし、ケイに奢ってもらおうかな。そのために来てくれたんだよな?」

「調子がいいですね。分かりましたよ、ジュースでいいですか?」

「ははっ、ちっちぇ奢り。そこはメシだろメシ。ケイ、今日はチャリか?」


「乗ります? すぐそこに置いているんですよ」


乗る乗る、蓮さんは俺の誘いに乗った。

橋から移動し、近くの文具店前に置いていたチャリの鍵を解除。

蓮さんを後ろに乗せて、何が食べたいかとクエッション。


「カレー」意外とヘビーな物を要求されたから、ファミレスで良いかと尋ねてペダルに足を置いた。
 

前進するチャリの風を真っ向から受けている蓮さん。

持ち前の赤髪を靡かせながら、ふと思い出したとばかりに俺に声を掛けてくる。


「そういえばさ、ケイ達。あの時、道を間違えたんだって? どうしたんだ?」

「……、ああそれですか。
あれはヨウが人の道案内をゼンッゼン聞いてくれない上に、運転がメチャメチャ荒くて、俺、激酔ったんですよ! もう死ぬかと思いましたね!」


思い出しただけでも気分が悪くなる。

ヨウの荒々しい運転と大雑把さ。

チャリの上では俺達のコンビネーションはバッチリだったけど、バイクじゃ通用しないようだ。


俺は酔うし(リバース半歩手前!)、ヨウは案内人には向いてないし(聞く気がなさそうだったなあいつ)。時間が押している喧嘩だったのに散々だった。


愚痴る俺の話に、「さすが異色の舎兄弟」普通は向いてないんだな、と茶化してきた。


ほんっとそう思う、ヨウと俺はチャリ専だよチャリ専。

あいつはバイクを運転しちゃなんねぇよ。


あいつの運転を体験したことのある健太とか、どうやってあの運転の荒々しさを耐えたんだ? 不思議ミステリーだ。


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