青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―


なにが厄介って、さっきも言ったけど馬場 波子は強気で勝気な女の子。


それに味を付け足したかのように負けん気の強い女の子で、習字内では常に上位をキープしたい優等生思考を持っていた。

中学時代はそれを証明するように、学力は学年十位以内をキープしていたしな。


けど習字って暗記や公式があるわけでもないから、地道に腕を上げていくしかない。


彼女とはほぼ同時期に習字教室に入ったんだけど、性格上彼女に合っていなかったのか、それとも俺の性格にすこぶる合っていたのか。

いっつも俺の方が級を取るのが早かった。

俺の級が上がり、彼女の級が次いで上がる。


それがお馴染のパターンになっていたわけなんだけど、彼女にはそれがお気に召さなかったらしい。


いつしかライバル視してくるようになった彼女は、何かしら俺にイチャモンはつけてくるわ。命令口調で物申してくるわ。毒づいてくるわ。


俺、習字以外は並な奴なので?

テストを返されたりしたら、いっつもテストの点数を盗み見ては「ヘボッ」と毒づかれましたよ。


ええほんと、マジな話。


うわぁああああ思い出しただけでも腹が立つっ…、チクショウな奴だった!


何度心中でドチクショウ! こっちも反論したろうか! と思ったか!
 

……まあ現実、口論はした事がない。


だって面倒になるし、俺自身平和を愛するジミニャーノだったし、男女が喧嘩したら絶対女に味方が付くし。
 

はっきり言って俺はこいつから嫌われていたし、俺もこいつを尤も苦手と称していた女の子。

犬猿の仲まではいかないけど、好いている類には入っていない。ぶっちゃけ嫌いな類に入る女の子だったわけだ

人間誰しもそういう奴っているだろ?

日賀野以上にある種、こいつは俺の苦手な奴かもしれない。


日賀野はフルボッコ事件がなかったらトラウマほどにはならなかったけど、こいつの場合は何度か接していくうちに“苦手”だと認識したわけだし。
 

くそうっ。

習字は辞めたし、各々別の高校に進学したんだから、二度と関わることもないだろうって記憶上から抹消していたのに、していたのにっ! 


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