青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
◇ ◇ ◇
「シズっ…重いんだけど。ギブっ、マジギブ!」
「…、ケイ…、重いは減点対象だ…」
「おばか。それは女子に対してでしょーよ! シズさんは立派な男の子してるって! 退けー!」
今の状況を説明する前に、以降の話からしてみる。
プチ失踪事件を起こしていたシズは、翌日から元気な姿で学校、そしてたむろ場に顔を出すようになった。
右頬のでっかい青痣についてはワタルさんに大笑いされていたけれど(シズは呻いていたけれど)、仲間達の反応はそれ以上も以下なく。
ただただ連絡について咎められたくらいで、いつもどおりにシズと接していた。
何があったのかは踏み込んではいけない領域なんだって空気で悟ったみたい。
事情を知っている俺達自身も、シズについては本人が望まない限り、仲間内に明かすつもりはない。それがシズのためだと思ったから。
一方でシズは今、俺の家に身を置いている状況下だ。
あの夜、包み隠さず事情を説明したんだ。
単なる泊まりならまだしも、今回の場合はちょっと事情が違う。
子供の俺達じゃどうにもならないから、顔を渋らせるシズを説得して、大人の知恵を借りようと親に相談。
晩酌していた父さんと談笑をしていた母さんに事情を話した。
最初こそ険しい顔を作っていた両親だけど、「静馬くんのご両親と話はできそうかい?」父さんが質問。
自分達が仲介人なるから、しっかりとご両親と話してみようと提案してきた。
付け足すように父さんは言う。
自分達はどうあってもシズの親にはなれない、この問題はしっかり両親と話すべきだ、と。
息子としてはなんだかがっかりな返答だと思ったけど(もっと大きな何かをしてくれると思ったんだ)、父さんは柔和に綻んで言葉を重ねた。
「親にはなれない、だけど君の味方にはなれる。話を聴く限り、ひとりでとても頑張っていたんだね。もういいんだ、大人を頼りなさい」
落ち着くまで家にいなさい。
ひとりになる時間も欲しいだろうけれど、残念なことに部屋が余っていないから圭太と相部屋で勘弁してくれな。