青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
さてと話は冒頭に戻って今、俺は物の見事にシズにプレスされている状況下だ。
なんでそんなことをされているかって言うと、シズの奴がいきなり仕掛けてきやがったんだよ!
俺が敷布団の上で寝転んでいたらさ!
苦労背負ってるシズが俺の家に身を置いている間は、気楽に、んでもって楽しく過ごして欲しい。
その思いを反映させようと俺は毎回、シズと寝床を賭けてジャンケンをしている。
修学旅行的なノリでくだらないこと極まりないけどシズも楽しそうだし、名案だと思ったわけだ。
勝ったらベッド、負けたら敷布団、と簡単なルールに則(のっと)って負けちまった俺は敷布団でゴロゴロ漫画を読んでいたんだけど。
何を思ったのかシズの奴、いきなりベッドから俺の背中目掛けて転がり落ちてきやがった。
「ぐぇっ!」蛙の潰れたような声を出してキャツの下敷きになった俺は、漫画を放り出して早々とギブアップ。
笑うシズは、ちっとも退く素振りを見せてくれない。
寧ろ体重を掛けてくる。
アウチッ、重いんだぜドチクショウ!
「シズ…、イタイケな少年をいじめても得はしないぞ」
「損も…、ない…」
「俺は大損だっ! 重いっつーの!」
あんまりいじめてると仕返し…、はできないから、俺が潰れちまうと大主張。
やっと退いてくれたシズは俺の頭を小突いて、「一本…取った」とはにかんでくる。
なあにが一本取った、だ。
不意打ちだったじゃんかよ。
上体を起こして胡坐を掻く俺はまた仕掛けてきやがって、と相手をジロリ。
何処吹く風で綻ぶシズは、「ケイは」隙があり過ぎる。
仕掛けることが面白いと、悪戯気に目尻を下げた。
「ケイ…、からかいがあるな」
「シズってそんなにもいじめっ子だったか? 俺いじめなんてしても、俺が楽しくない!」