青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
「ヨウは不思議な奴だよな。
なんか、こう、俺達にはない何かを持っているよ。人を惹き寄せる何か…、こっちの心が動かされるような惹かれる物を持っている。
俺はあいつの真っ直ぐなところに惹かれて、今もこうして舎弟をしてるし」
「自分もだ…、あいつに惹かれた…。あいつの屈託ないところ…に」
「一緒だな」「ああ…」視線をかち合わせ、お互いに一笑。
「前から思っていたけどさ。シズって、どうして日賀野じゃなくてヨウについて行こうと思ったんだ?」
「…あいつの方が…、なんとなくあったかそうだと思ったからな。自分は…、あったかい家や居場所に憧れているから」
あいつなら作ってくれると思ったんだ、自分の望む居場所を。
「正解だった」シズはヨウについて行って良かったと吐露。
こんなにも今、自分はあたたかい気持ちになっていると、肘を崩しながら言う。
崩した肘を組んで枕を作ったシズは、その上に頭を預けて俺に笑み。
「ケイに出逢えたしな…、良かったと思ってる」
なーんてむず痒いことを言われてしまう。
頬を掻いて照れ隠しする俺は、「お互いにヨウに感謝だな」組んだ腕を頭の後ろに置いた。
「ヨウの思いつきがなかったら、俺、シズと知り合えなかっただろうし。あいつの思いつき行動も、たまには役立つんだな」
「…ケイ…、自分達に最初こそビビッてくれていたけどな。不良…、嫌いだったろ?」
お前も気付いていたのかよ。
マジで?
俺ってそんなに顔に出やすいタイプ?
苦笑いを零して首肯。「今も不良は」苦手な類だよ、シズに本音を漏らす。不良もどきになった今も、わりと苦手な類。
見知った奴じゃないとめっちゃ警戒心を抱くし、恐怖心も抱く。
つるんでいるヨウ達は良い奴等ばっかだけど、五十嵐みたいな本当の意味で“不良”をしている奴等もいるわけだし。
なんとなく不良は苦手だ。
今でも学校の風紀を乱す不良は、上辺良い子ちゃんをしていた俺には苦手。
サボりばっか繰り返している俺が風紀なんて気にするタマじゃないけど。
「不良は苦手だけど、俺は今が好きだよ。シズやヨウ、仲間達がいる生活が当たり前なんだ。……これからも当たり前がいいな」
弱さと気持ちを教えてくれたシズに、俺も気持ちを見せることにした。
未だにヨウ以外の仲間に一線引いちまう面がある馬鹿な性格を打破するためにも。