青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
「うえぇーっ、荒川の不細工! あんちゃんの方がかっけー!」
谷がガキくさく舌を出し、
「お前等、兄貴を見る目皆無!」
川瀬がせせら笑うように挑発。
よってモトの気持ちがポッキリ折れそうになった。
「お前等ッ」
人がおとなしくしていればっ、調子付きやがってッ…、一発かましてやりたいと握り拳を作るモトの中で葛藤が始まる。
協力するべきか、反論すべきか、協力するべきか、嗚呼、反論するべきか!
弟分として反論したいが、オトナの対応をしたいのもまた本心である。
さあどうする嘉藤基樹!
と、それまで傍観者になっていたココロが四人の前を通り過ぎ、助走をつけてキャビネットに飛び移る。そしてそのまま扉を押さえつけた。
「これで少しは頼りになると思いませんか! 私の体重と力が加わって、よりバリケード対策は万全になったと思うんですけど!」
我ながら名案だと、キラッキラ目を輝かせながら首を捻って此方を見てくるココロ。
喧嘩の火種もなくなるのではないかと考えたらしいのだが、かなり微妙である。
というか、ココロにバリケード役をさせるくらいならば、自分達が受け持たなければ!
モトとキヨタはお局さまのアクドイ表情を思い出して血の気を失くす。
内なるところで、お局さまが“まさかてめぇ等。妹分に危険な真似させてるんじゃねえだろうな? あ゛ーん?”なんぞと脅してきたりこなかったり。
「ココロさん!」
「オレ達がやるから!」
寝かせているキャビネットに飛び移って二人はポジションチェンジだと訴える。
「大丈夫です」
私でもこれくらいならできますよ、笑顔を零すココロだがそういう問題ではないのだ。そういう問題では。
「ココロ、下りておりて! オレとキヨタでバリケード対策強化を図るからさ! なあキヨタ!」
「そうッスよ! ココロさんは危ないんで下りて「じゃあ。三人でやればいいじゃないですか」ええっ、そうきますか」
困惑するキヨタに、ココロは一人より三人だと一笑。
キャビネット+三人分の体重が掛かれば、そうそう内鍵が壊されても突破するのは難しいとココロは意見する。