青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―


(単に指揮すればいいってもんじゃないよな。
こういう時、ヨウさんだったら、独断せずに複数の意見を収集する。
昔のヨウさんは独断が多かったけど、今のヨウさんは違う。必ず他の奴等の意見を聞くんだ。-…あ)


肩を並べるココロの様子に気付いたモトは、それに気付かない振りをして視線を逸らす。

携帯を握り締めている彼女の手が小刻みに震えていた。

気丈に振舞っているようで、内心は恐怖心で一杯らしい。


そりゃそうだ。

ココロは喧嘩慣れしていないのだから。


それでも気丈に振舞うのは、彼女自身のプライドからだろう。いざとなれば、ココロは自ら喧嘩に参戦する覚悟をしている。


過去、彼女は喧嘩に参戦しているのだ。

さすがは調子ノリ舎弟の彼女なだけある。
 

(おいおいおい、ダッセェぞオレ。ココロがオレ達のために、ここまで腹括ってるのに。もっとしっかりしろ)
 

例え、此処に居合わせた面子が寄せ集めでも、寄せ集めであったとしても、立たされている境遇は同じ。

濡れ衣という汚名をかぶった、謂わば被害者なのだ。


こっちが激情している相手に、「オレ達無関係なんで!」と言ったところで神経を逆立てするだけ。

信じてもらえる筈もない。



だったらこの状況を打破するしかない。仲間達が来るまで、自分達の手で。



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