青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
「いいか。お前は足手纏いだって自覚している。
だったらそれなりの行動をしろ。女が喧嘩の場にいられちゃ邪魔でしょうがない。あいつ等も俺等も動きにくいんだ。分かるだろ?
だから此処にいろ。
静かにしていれば、絶対に見つからない。
けど用心のためにバットは護身用として持っとけ」
「谷さん…」
「ッハ、女なんて邪魔だ邪魔!
悔しいと思うなら尚更、此処でおとなしくしろ。
あいつ等を助けたい? ンなのお前じゃ無理だ。おとなしくする、それがあいつ等のためだ。
……チッ、荒川が来るまでの辛抱だかんな」
罵声と慰めの両方をココロに掛けた谷は、「とにかく」そこにいろよ、と言って男子便所から飛び出してしまう。
呆然としていたココロは谷の言うことはご尤もだと真摯に言葉を受け止め、個室の鍵を閉める。
バットを左の手で握り締め、生唾を飲み込んで気を落ち着けると、
「足手纏いだからこそ」
やるべきことがあるのだとココロは携帯を取り出した。
右手で携帯を操作し、通話履歴から先程助けを求めた彼氏のTELを呼び出すと発信ボタンを押してコールに耳を傾ける。
早く早くはやく、心中で早く出てくれるよう急かすココロの気持ちが届いたように、『ココロか!』彼氏の声が聞こえてくる。
「ケイさんっ」
出てくれたことに安堵するココロは早速状況説明に回った―――…。