青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―



『―――…ビル三階にキヨタさんとモトさんがいます。成り行きで居合わせた方々と手を組んで応戦しているのですが、人数が多くて。
私は今、二階の男子トイレ個室で待機しています。取り敢えず私は無事ですが、他の皆さんが危ないっ…、ケイさん、どれくらい掛かりそうですか?』


「最長十分。全力でそっち行くからっ、もうちょっと辛抱してくれっ。
っと、ごめん、また後で掛けるから。俺とシズ、今、追われているんだ。
ヨウに掛けられそうなら、ヨウに連絡をしてみてくれ。状況説明をリーダーも求めているだろうから」

 
俺の言葉にココロは連絡してみると返事し、気を付けて下さいと言葉を掛けてきた。

バッカ、俺の心配なんかよりも自分の心配をしろよな。

彼女の優しさを受け止めつつ、俺はシズに携帯を切るよう促した。

チャリの後ろに乗っていたシズは、背後を睨んでまだ追い駆けて来ていると眉根を潜める。

マージかよ。
俺達って愛されちゃってるのね、いっつの間に追っかけなんてファンができちゃってくれたんだか! 嬉し過ぎて涙が出そう! …嘘、ファンなんてイラナーイ!


「こっちは急いでるっつーのに」


なんで追い駆けてくれるんだか、俺はチャリのハンドルを切って小道に逃げる。

すると追っかけさんも小道に入ってきた。

いつもだったら振り切れるであろう追っかけさんをどうして振り切れないか。


答えは簡単、相手も俺たち同様チャリだからだ。

チャリに跨って追い駆けてくる二人乗り不良と、逃げる二人乗り荒川チーム。カッコ俺もシズも家にいたせいかジャージなんだぜカッコ閉じる。


……なーんか変な光景だよな。

チャリを使うとかパクりか?
不良さんはフツーバイクだろうよバイク!


チャリは荒川チームの名物だぞ!

 
「くっそう、なんでチャリで追っかけてくるんでしょうかね。副リーダーさん!」

「日本も不景気だしな…、…ガソリン、高いし」

「なーるほど。省エネ兼節約なのですね。だけどおかげで困ったことになったな。チャリじゃなっかなか振り切れないじゃないか」


バイクだったら小道や裏道を使って撒くことが可能だけど、チャリはスピードと方向転換が利く分、相手の根性さえあれば何処までも追ってこられる代物。


荒川チームの戦法も考え直した方が良いのかもな。

チャリ戦略を使うと珍しがられていた俺達の攻略が最近目立っている。


はぁあ、チャリを攻略されたら俺の立場ないじゃなーいですか!

俺の取り得がまた一つ消える!


既に習字の腕前でガビーンなのに!

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