青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―


手腕のあるヨウやワタルさん、シズ、タコ沢は三階フロアに行くと告げ、残りの弥生、響子さん、俺は二階フロアにいるであろうココロの救出に回ることになった。

響子さんをこっちに回してくれたのは俺と弥生だけじゃ、もしもの時に対応できないからだろう。

つくづく自分の非力を呪うけど、無いものはしょうがない。

自分のやりべきことをやらないとな。

 
「うっしゃあ、待ってろよ。ココロ! 可愛い妹分に怖い思いさせた輩を叩きのめしてやるからな!」


そう、やるべきことを…。


「私もこのバットでけっちょんけっちょんにするから! 待っててね、ココロ!」


………。

ブンッとバットを振り回す弥生と、妹分を助けることに燃えている響子さんを遠目で見つめた俺は、ヨウに助っ人を寄越してくれないかと懇願する。
 

俺一人じゃあの二人が暴走した際、止められることは不可だ。


特に響子さん、あの人の暴走はレベル5の俺じゃ無理も無理。止めた瞬間、こっちの息の根を止められそう。

俺の嘆きを耳にした弥生はバットで人を殴るわけじゃない、身を守るために護身として使うのだと言ってくれたけど、いや、お前…、ゼンッゼン説得力ないから。

人を怪我させたら暴力を振るったも一緒だぞ。


下手すりゃ少年院に行く可能性だってあるんだからな! 常識は弁えろよ!
 

ヨウはいたく真面目に二人の暴走を心配したんだろう。

タコ沢にストッパー役を命じていた。

すっこぶるタコ沢は嫌な顔をしていたけど(タコ沢「なんで俺様なんだよ!)」、俺を助けると思って一緒に来てくれ!

絶対に女子二人の暴走は俺だけじゃ止められない!

 
こうして役割分担も決まり、封鎖の意味で仕切られている錆びた太いチェーンを飛び越えてビルに足を踏み込む。

一階ですぐさま喧嘩になったのは数十秒も掛からなかった。

待ち伏せていたかのように侵入者の俺達に数人の不良達が奇襲を掛けてくる。


手には弥生と同じ物騒なお道具があったりなかったり。


皆様、喧嘩は拳で語るもんじゃねえんですかねぇ!

金属バットなんて持っちゃってっ、ストレス発散に建物の窓ガラスを壊しちゃいとか? そのまま盗んだバイクで自由を求めに走り出すとか?!

……はい、これはビバ尾崎ですね!

尾崎に共鳴した不良さん方は沢山いると思いますが、バットはボールを当てるものであって人に当てちゃならぬわぁあああ!
 
スイングしてくるバットをしゃがんで避けた俺は、つい絶叫。


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