青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
キヨタが落ち着きを取り戻すに、かなり時間を要した。
言葉を掛けても何をしても嗚咽ばかりが漏れるわ、涙は止まらないわ、しゃくり上げるわ。
こんな状態じゃ店に入ることは不可、俺はキヨタを高架橋下に連れて行くことにした。
途中で出店を見つけたから、そこでたこ焼きを購入。
今日は大盤振る舞い、奢り日和だと思いながらジュースも一緒に買ってキヨタとそこで食べた。
もっとも、その時のキヨタはまーだ泣いていたから先に俺が完食。
キヨタはたこ焼きを口に入れながら、グズグズもひもひジワっごっくん…、ああ、もう、食べるか泣くかのどっちかにしろって!
喉に詰まらせないかすっげぇ怖いぞ!
食えなかったら残してもいい!
俺が食うから!
はらはらしつつ、キヨタの食べる姿を横目で見ていた俺は力なく笑って缶コーラを傾ける。
喉を潤した後、「なあキヨタ」まだ上手く喋れそうにないキヨタに話しかけた。
なんでしょうかと目で訴えてくるキヨタに、「どうして俺が土地に詳しいと思う?」と話題を吹っかける。
勿論、自転車であっちこっち行くからじゃないだろうか?
あくまで視線で訴えてくるキヨタに、うんっと頷き、大正解だと破顔。
「チャリでさ」
隣町までよく行ったもんだよ。
迷子になって交番にお世話になったこともあった。
缶に耳をあて、炭酸の音を聞きながら俺は思い出話に花を咲かせる。
「よく馬鹿したもんだよ。電車賃が勿体無いからって、健太と五駅向こうの町に行ってさ。行きはよいよい帰りは怖い。帰りは遅くなるわ、親に怒られるわ、翌日は筋肉痛だわ。踏んだり蹴ったりもいいところだった。
……でも楽しかったんだ。チャリであっちこっち行けるの。実はさ、俺、小5までチャリに乗れなかったんだよ」
グズッと鼻を啜るキヨタが、「え?」と聞き返してくる。
「まじまじ」
恥ずかしいから誰にも言ったことなかったんだけどな、俺は照れくさくなりながら語りを続ける。
なんというか、べつだん引きこもりじゃなかったんだけど、活発的に外で遊ぶってタイプでもなくって。
特にゲームに夢中になってたってのもあるんだけど、チャリになっかなか興味を持てなかったんだ。小学校時代は。