青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
気付けば周りはみーんな乗れていて、俺は乗れていない負け組。ぶっちゃけ恥ずかしかった。
皆乗れているのに、俺は乗れていない。
表向きじゃチャリがないって友達に言っていたんだけど、内心じゃヤッベ。チャリに乗れねぇとかハズイこと言えねぇよ。
って焦ってさ。
小学校の時に、自転車講習みたいなのがなかったか?
交通安全教育の一環であるやつ。
俺、あれがすっげー苦痛でさ。
仮病を使って一回休んだこともある。
自転車なんて消えちまえ! とか思ったこともあったよ。
しかも俺の五つ下の弟がさ。
小学校に入る前からチャリに興味を持ち出して、補助輪ありでチャリに乗り始めたんだ。
俺は焦るわけだ。
やばいぞ、このままじゃ弟に先を越される。
『兄ちゃん乗れないの?』
とか言われた日には心折れて立ち直れない。
それどころか、あいつのことだ。遊びに来た友達に言いふらしかねない!
大慌てで練習したよ。
一応、チャリは持っていたから車庫から引っ張り出して、人気のなさそうな駐車場でひとりえっちらほっちら。
孤独に練習するわけだ。
でもなーかなか乗れなくて、やめちまおうかと思った。
コツ掴むのが不得意でさ。
まあ、なんとなーくたどたどしくバランスを掴めるようになってからは楽しくなったんだけどさ。