青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
お前なら俺が気持ちの整理がつくまで待ってくれるだろう。
そう甘えていたけど、俺はバカタレだったみたいだ。
何をカッコつけて舎兄の気持ちを準備し続けているのか…、準備とか、覚悟とか、待ってくれるとか、そんなの俺の我が儘で、キヨタには関係のないこと。
だからお前を不安にさせたんじゃないか。
俺はそう思うんだ。
キヨタは言ったな。
俺に舎弟なんか不要なんじゃないかって。
―…馬鹿だな。必要に決まってるじゃないか。
お前はどんな時でも、それこそ自分を卑下する俺を元気付けてくれる、そんな存在だから。
お前は俺を守ってくれようとするけど…、守るんじゃなくて支えてくれ。
前も言ったけど、俺は守ってもらいたいんじゃないんだ。
支えて欲しいんだよ。
俺だってお前を守りたい。でも力量がなくて二の足ばっか踏んで…、やめだ。
俺はもう前進することにする。
「キヨタ。俺とお前の兄弟分関係は今日を持っておしまいにしよう」
吹き抜ける風と、訪れる静寂。
聞こえてくる自動車の通り過ぎるエンジン音をBGMに、「いつだって成り行きだった」俺は静聴している弟分に言葉を重ねる。
「俺はヨウと成り行きで舎兄弟になった。俺とキヨタは成り行きで兄弟分になった。そしていつの間にか俺とヨウは本物の舎兄弟になっていた。
じゃあ、今度は俺がお前との関係を本物にする。
これから先、キヨタは何度も周りの批評や俺とヨウの関係で苦しむだろうし、俺はお前を苦しませる。
気付いてやれなくて今日みたいなすれ違いだって起こるかもしれない。
それでも俺はお前と本物の関係になりたい」
「ケイさん…」
「キヨタ。俺と舎兄弟を結んでくれないか。今はなんちゃって舎兄弟になるだろうけど俺が本物にするから…、成り行きでも絶対に本物にする。約束する」
高架橋が跨いでいる川面は小波が立っていた。
風が吹いているせいだろう。