青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
「久しぶり」
ニッと綻ぶ武藤は開口二番に雰囲気が変わったな、と身なりを指差してくる。
「だなぁ」東島はオーダーしたサラダをバリボリバリボリ。
肉はまだかなぁとぼやいていたりいなかったり。
お前等は相変わらず変わってないみたいだな、なんか安心したぞ。
「武藤に東島は同じ高校に通っているんだよな。元気だったか?」
健太が頬を崩しながら話題を振る。
首肯する東島は変わらずの毎日を送っていると肩を竦める。
勉強以外は中学時代と殆ど変わらない。武藤を筆頭にゲームの話やら、漫画の話やら、各々つるんでいる連中の趣味話で盛り上がっているとか。
懐かしいな、俺も中学時代はそんなもんだった。
いや高1のあの日まではそんなもんだったな。
懐かしさを噛み締めていると、健太がごく自然の動作で煙草を取り出した。
喫煙するつもりだったんだろう。
けどすぐ思い改めて、しまったしまったと苦笑を零す。
「同窓会中は吸わないって決めていたのに…、癖って怖いな」
「おいおい。いつの間に悪くなったんだ? 山田」
一笑する武藤は気にする素振りも見せず、煙草を手に取った。
銘柄はセブンスターか。
わりと好きな銘柄だよ。俺はマルボロが好きなんだけどさ。
健太に言うと、「マルボロね」まあまあ口に合うよ、と返事してくれる。
「なんだい? 君も吸っているの? 田山くん」
東島に質問されたから、「ごめんちゃーい」悪い子ですと軽く両手を挙げる。
倣って健太も悪い子だと両手を挙げた。
俺達のノリに笑う東島は、中身は変わっていないじゃんと笑声を漏らす。
深く俺達のことを聞かないことはとてもありがたいことだった。
不良とつるんでいる、二人がそのことについて知っているかどうかは分からないけど、あの頃を味わいたいからあんま深く聞いて欲しくはない。
不良達とつるんでいると知ってギクシャクなるのもヤじゃん?
まあ、この二人がそういう人間じゃないってことは知ってるけどさ。