青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
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微妙に盛り上がった昼食会後、俺と健太は流れに任せて同窓会が主催するボーリングに参加した。
直行で帰りたかったんだけど参加している奴等は全員行くって言うから、此処で帰ってしまってはKYだと思って渋々参加。
あんま話したことのない連中と一緒にグループを組んでボーリングを楽しんだ。
わりと楽しめたとは思う。久しぶりに健太とはしゃげたしな。
だって俺達、中学時代は田山田だったんだからな!
健太は山田山って言い張るけど。
おかげさまで始終、俺と健太はノリツッコミボケをかましていた。
どっかの誰かさんは鼻で笑ってくれたけど、無視だ無視。
金を払ったのは自分だぜ?
俺自身が楽しまないと損損!
二次会はカラオケだったんだけど、これはパスした。
ボーリングの後のカラオケが苦ってわけじゃなくて、もう充分に同窓会を楽しめたからだ。
武藤や東島は行くらしく、声を掛けられたんだけどやっぱパス。なんか気疲れしちまったんだ。
不良に会う前の俺だったら喜んで二次会にも参戦していただろうけど、俺はあの頃の俺じゃない。
楽しく過ごせても、中学時代の奴等とはどっか波長が合わなかったんだ。
悲しきかな、中学の頃は仲が良かった武藤や東島とも若干波長が合わなかったり、だ。
楽しくないってわけじゃないけど、余計な気を回してしまう。
俺がそう思うんだから、二人もどっかで感じてるんじゃないかな。波長のずれを。
多分これは俺が劇的に変わったせい。
取り巻く環境の変化と知ってしまった不良の世界、自分の居場所、価値観、全部が変わってしまった。
俺はあの頃の俺じゃない。
気兼ねない友達だと思っていたけど、変化することによって気兼ねする友達に変わっちまうもんなんだな。
結局中学時代の友達で、気兼ねしないっていえば健太ぐらいなもんだった。中学の親友って立ち位置は山田健太だけなのかもしれない。
「くぅーっ、疲れたな。二十年は同窓会に行かなくてもいいや」
大きく伸びをする健太が肩凝ったと首の関節を鳴らす。
同調する俺はボーリング場から出ると、真っ先に空を仰いだ。
薄っすらと空に紅が掛かってきたな。時間を確認すると五時過ぎ、まあまあな時間だな。
門限があった小学生時代はそろそろ帰らないといけないなんて思うんだけど。
「これからどうする?」
健太が視線を流してきた。
「折角会えたんだ」
もうちっとブラっとしないか? と個人的なお誘いをしてみる。
名案だと健太は指を鳴らした。