青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
「死にそうだ」俺の嘆きに、『おれはもっと死にそうだ』健太の泣き笑いが聞こえてくる。
なんだよ自分が言ったくせに、言ったくせに。
「もう、大丈夫だな。お前」
『ああ。ストーカーの一件も、チームに手を貸してどうにか乗り切るさ。今しばらくはトラウマになりそうだけど頑張るよ』
そっか、お前なら大丈夫だよ。乗り切れる。
もしまた何か遭ったら、約束に基づいて行動させてもらうさ。
わりと有言実行する男だよ俺。
たまーにしない時もあるけどさ。
『あ、やっべぇ』
アキラさんが戻って来そうだと健太が言うから、
「またな」
俺は今度奢ってくれとおどけて別れの挨拶を交わす。
携帯を切った俺は部屋に戻れる気にならず、頭の後ろで腕を組み、今しばらく暇を弄ばせる。
あーあー、どうしてくれるんだろうね。
部屋に戻れないじゃないか。こんな面じゃ。
「俺が馬鹿みたいに真っ直ぐなのは」
健太の言うとおり、舎兄の影響かもしれない。
俺は泣き笑いのまま、襖の向こうに向かって肩を竦めた。
「ヨーウ。お前の真っ直ぐ馬鹿が感染ったんだけど。苦情出していい?」
「じゃあ俺も苦情を出す。テメェの馬鹿調子ノリが感染った。どうしてくれやがる」