青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
「ほんと参ったなぁ」
小さな溜息をついて、俺は「行こうか」とキヨタに声を掛ける。
とにかくチャイムが鳴ったんだ。移動しないと。
「……キヨタ?」
なんだかキヨタ、ぼんやりとしてるけど…。
再度声を掛ければ、
「え、あ、はいっス!」
一変して元気よくお返事をしてくれる。
どうかしたのか、なんか今の顔、あんまり見ない顔だったけど。単にぼんやりしてたのかな?
本当はもうちょいキヨタと話したかったし、キヨタの様子が気掛かりだったけど、チャイムが鳴ったからにはお互いに移動しないといけない。
俺は立ち上がって、キヨタに「じゃあまたな」と笑みを向ける。
「放課後にお会いしましょう!」
キヨタは手を振って、体育館へと駆け足。俺も踵返して階段へと向かった。
「あ…、あのケイさん!」
ふと背後から声を掛けられて、俺は首を捻った。
向こう側で体ごとこっちを向いているキヨタは、口をへの字に曲げて、ちょっとばかし思案した後、すぐに破顔を作って俺に言った。
「あんまり溜息つくと幸せ逃げちゃいますよー! 今日のケイさん、朝から溜息多いっス!」
ブンブンと手を振って、今度こそキヨタは体育館に向かってBダッシュ。
残された俺は微苦笑を零した。そんなに溜息ついてたのかな? 俺。
まあ、思い当たる節は多々あるけどな。
例えば(偽)田山圭太さんとか、(偽)田山圭太さんとか、(偽)田山圭太さんとか。