青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―

#04. Take Me The Boy


 
◇ ◇ ◇
 

女心と秋の空。
 
辞書を引くと出てくる慣用句で、意味は女の男に対する愛情は、まるで秋空模様のように変わりやすいと記されている。
 
まさしく今のハジメと弥生にぴったりの慣用句だ。

愛情は差し置いて、弥生のハジメに対する態度の急変に彼氏は勿論俺も目を白黒させるしかない。

だってあんなにプンスカ怒ってハジメと喧嘩していたくせに、仲直りもしないまま突然のダブルおデート発言。


俺とココロを巻き込んでのダブルおデートなんて、一体なんでどうしたらそうなった。


不幸だと嘆きたいところだけど、ココロは満更じゃなさそう。

弥生の発言に始終そわそわしていたんだから。


ということで、今日の放課後はダブルおデート、カッコ喧嘩ワード禁止カッコ閉じる。


一体何処で何をするのか聞かされないまま、俺は弥生やハジメと一緒に彼女の通っている高校に赴いていた。

だってしょーがない。

俺達の方が先に終わったんだ。


どっかで待ち合わせすればよかったんだけど、弥生が「時間勿体無い!」とか言うし。俺的には待ち合わせしたかったんだけどな。
 

ココロを迎えに行くのはヤじゃない。

でも既にカレカノモードに入っている二人と一緒に迎えに行くのがヤなんだよ。


さっさとチャリを押して舗道を歩く俺の背後で、やーけにイッチャコラしている二人がいるわけだ。居た堪れない。



(しっかも恋人繋ぎだと? 俺の後ろで堂々と?)

   

お前等、昨日まで喧嘩していたんじゃないのか! なーんで俺の後ろでラブラブしてるんだよ。

最初こそ渋っていたハジメも、今じゃ弥生と楽しげに会話しているし。

おのれハジメ。
お前は友情を捨てやがったな!

当てられている俺、めーっちゃ可哀想じゃんかよ!

せめて俺がココロを迎えに行くまで我慢してくれって!


こんの甲斐性なし!


飛んでくるハートに目を瞑りながら、俺は努めて速足で歩く。

弥生から速いと注意されるけどシカトだシカト。
お前等のラブモードに当てられるのはごめんなんだよ!

藁にも縋るような思いで、ようやくココロの通う高校正門まで辿り着く。
 
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