青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
じゃあどうするべきか。
新規メールを開いてごらん。
宛先を入れて相手のメアドを入力した際、『To』もしくは『Cc』になっていると思うんだけど…、ああ、機種によって異なっていると思うんだけどさ。
これをメニュー画面で『Bcc』に変更してしまうんだ。
そうそう『Bcc』の正式名は“blind carbon copy”。
これも電子メールの機能の一種で、受信者は自分以外にもそのメールを受け取った人がいるかどうかを知ることはできないって便利ものなんだ。
ふふふっ、メアド変更を受け取った受信者は他に何人メアド変更のメールを受け取ったか、一切知ることはできない。送信者は勿論分かるけどね。
すごいだろ?
携帯は賢く便利に使うものさ。情報化社会になればなるほど、安易に情報が入手できる。反面、個人情報の漏えいの頻度が高くなる。
ぼくが今言った機能は説明書に書かれていることだけど、一々事細かに目を通す人間は少ないと思う。
だから教えておくよ。
「携帯は便利だけど使い方によっては凶器さ。恐ろしいね、情報化社会。これだから携帯には安易に個人情報を入れることができないんだよ」
パタンと携帯を閉じて、カズサは口角を上に持ち上げた。
「便利機具は便利に、そして便利は凶器に変貌させられる。ぼくはそれを知っている」