青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―


目的があって…、俺は健太の事件が脳裏に蘇り、「もしかして」最近不良達を騒がせている奇怪な事件と関係があるんじゃないかとリーダーに言う。

真杉の一件も引っ掛かったままだし、健太の事件も未解決。

あいつをストーカーしていた奴もまだ捕まっていない。

荒川チームと肩を並べている日賀野チームが狙われた事実があるんだ。可能性はないとは言い切れないと思うんだけど。

ヨウは釈然としない態度で同調はしてくれた。

半信半疑ってところだろうな。
発言した俺も絶対そうだとは言い切れない。

決定的な証拠があるわけでもないしな。

俺の考え過ぎなのかもしれない。
 

「最近、不良を狙う輩がいるってのは耳にしているけど…、ワタルなら狙われても仕方がないよね。素行からして」

「それ。褒めてくれてないっしょ、ハジメちゃーん」


ころっと口調をいつものウザ口調に戻すワタルさんは、勘弁して欲しいと拗ね顔で頬杖をついた。

清く正しく楽しく相手を嬲ることをモットーにしている自分がなんでこんな目に遭わないといけないのか。

ぶう垂れるワタルさんの下に弥生が戻って来た。


ハンカチを当ててやる弥生に、

「弥生ちゅわーん優しい!」

両手を広げてそのままぎゅーっ。
相手を抱擁する。

びっくらこく弥生を余所に、「ゲッ」ハジメは立ち上がって何をしているんだと抗議した。


そりゃそうだ。
彼氏として黙っていられない光景だろう。


彼女が野郎に抱擁されているんだもんな!
 

ハジメはすぐ放すよう唸るんだけど、「ヤッダー」傷の癒しが欲しいとおどけてみせる。

よってハジメがワタルさんの脛に痛恨の蹴りをお見舞い。


どんなにハジメの手腕がチームで弱いと位置づけられても、弁慶の泣き所を一蹴されたらワタルさんだって一たまりもないだろう。


「アイッダ!」


悲鳴を上げるワタルさんは友達に対して酷い酷いと連呼し、過剰な嫉妬はヨクナイと指摘した。

けれどもハジメの耳には届かないらしい。

それほど元気があるなら手当ては要らないんじゃないかと腕を組んでそっぽ向く始末。

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