青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
(ほんっと最近の喧嘩は味が悪いもんばっかだ。水面下で手ぐすねを引いている輩はナニを目論んでいるんだろう)
あの日賀野でさえ、卑怯で姑息の策士だと認めた輩。
暇つぶしってのも癪だけど、深い意味が無いといいな。何も無ければいい。
ワタルさんの怪我の具合を流し目にしつつ、俺は大きな懸念を抱いた。
不安からくる溜息を何度もつく俺は気付かなかった。
憮然と肩を竦めてこっちを見ている舎兄に。
放課後。
いつもだったらスーパー付近の倉庫裏に向かうところを、本日はリーダーの命令の下、急遽ゲーセンで時間を過ごすことになった。
理由は勿論ワタルさんの奇襲事件だ。執拗に追い回されているという不良達の尻尾を掴むため、ヨウは手腕のある輩を集めて外出すると言った。
今回はある程度顔が割れているため、本当に手腕がある輩以外はお留守番。
よって俺もお留守番命令を食らってしまう。
近場だし徒歩で十分だとか、つまりチャリを使う必要性がないらしい。
手腕の無い面子及び女子達は人目のあるゲーセンで行儀良く留守番しておいて欲しいのがリーダーの切な心境らしい。
それなりに喧嘩ができるモトをボーダーに、俺とハジメは残念なことに待機組とされてしまう。
喧嘩に参戦しなくていい安堵がある一方、こういった場合、手腕がないと悔しい思いをすると思うのは俺だけじゃないだろう。
しょうがないと分かっていても悔しいもんは悔しい。
男のクダラナイ自尊心が嘆くんだ、しょーがないよな?
喧嘩に執着するなんて俺も悪になったよ。
ヨウ達は外出して二時間後に戻って来た。
もう決着がついたらしい。早過ぎないか、驚く俺達を納得させたのはこの直後の一報。
曰く、向こうから出迎えてくれたらしい。
なるほどな、そりゃすぐ決着もつくだろう。出迎えてくれたってことは、単にワタルさん個人を執拗に追い駆け回していただけの輩だったということか。
取り越し苦労だったんだと俺は自分の不安を自嘲する。
駄目だなぁ、ほんっと。
健太の事件以降、何かと疑心暗鬼になっている俺がいるよ。
むむむっ、どうした調子ノリ。お前らしくも無いぞ。
お前もっと軽いノリで不安を乗り越えちまうだろ。
どうしてこんなに不安を抱いているんだよ。分からん。
自分のことなのに、ちーっとも分からん。イミフである。