青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
俺の気持ちを見透かしていた人物がいた。舎兄だ。
戻って来たヨウは早々と俺を呼び出してゲーセンの外へ。
何処かに行くわけでもないのに、大通りを歩き始めるヨウは、「どうした」ケイらしくねぇぞ、と開口一番に聞いてくる。
肩を並べる俺は苦笑いを零してしまった。
「ほんとにな」
俺自身も変だと思っている、ヨウに吐露した。
こうして素直に弱さを見せられるのはヨウだけだと思う。
他の面子には、俺の中でやや躊躇いがあるんだ。
自分でもおかしいのだと小さく苦笑いしてしまう。
過剰に不安になるなんて、ほんっと俺らしくない。
「なんだろうな。なんか、変に不安になっている俺がいるんだよ。
奇怪な出来事がある度に、『え。うそ。マジで』って焦る俺がいて。自分のことのように怖くなるんだ」
情緒不安定な時期にでも差し掛かったんだろうか。
肩を落として歩く俺を横目で見やるヨウは、
「チームの弱点を突く基本戦術は弱者利用」
とやや大きめに台詞を吐いた。
ドキリと鼓動を高鳴らせる俺はつい身を竦ませた。
ビンゴだとヨウは口笛を吹き、それがテメェの不安の正体だと教えてくれる。
「テメェって何度かそういう経験をしてるからさ。ちとトラウマになってンだよ。
手前の手腕も自覚しているし、余計恐怖が煽られているんじゃないか?」
「そう、なのかな」
「そーだね。俺が言うんだから間違いねぇ。だって俺、テメェの舎兄だし」
したり顔を作るヨウは、誰よりも舎弟を知っているのだと笑ってくる。
つい、つられて笑ってしまった。