青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
交差点に差し掛かる。
見知らぬ通行人とすれ違いながら、俺はヨウと長い横断歩道を渡る。
もうすぐ渡り切ろうとしたところで青は点滅、やがて赤に変わった。
なのに俺を含む通行人達は急ぐ素振りもなく、自分のペースで渡り切る。
停車していた自動車は今か今かと信号機を睨み、そして青になると勢いよく車道を走り始めた。
帰宅ラッシュに入っているんだろうか。やけに車の行き交いが激しい。
片側三車線の通りを横目で見やっていると、「俺だって怖ぇよ」中断していた会話が再開された。
ヨウは俺と同じように恐怖心があると教えてくれる。
先方の増す議事件でさえ味の悪い気持ちにさせられたのだ。
仲間の危機と負傷に畏怖したと舎兄は語る。
それでも何か起こるんじゃないかとビビッていたってどうしょうもないことじゃないか、ヨウは俺に尋ねた。
ご尤も、俺は首肯する。
分かってはいるんだよヨウ、俺だってさ。
なのに感情って単純なようで複雑だから、一度不安に駆られると、そっからなかなか抜け出せなくなる。
ヨウの言うとおり俺はトラウマになっているのかもしれない。
経験とコンプレックスからくる、恐怖心が掻き立てられているのかもしれない。
うじうじ不安になっているなんて調子ノリらしくもねぇな、ほんと。
ヨウは川原に向かっているようだ。川原沿いに爪先を向けている。
「ケイ。いつか、仲間の誰かが利用されるかもしれねぇ」
俺は自分の歩調が遅れていることに気付いて駆け足になる。
気にする素振りも無くヨウは語り部に立った。
「けど」大丈夫だと俺は信じてる、だって今まで乗り切ってきたことだからな。
ヨウは首を捻ってあどけなく笑ってきた。
不意を突かれる俺は自然と足を止めてしまう。
同じように足を止めるヨウは、「だろ?」と疑問を投げかけてきた。