青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
翌朝、俺は見事に寝坊する羽目になる。
なんでかっていうと寝る間際、ずーっと迷惑メールのことを考えていたんだ。
そしたら自然と頭が冴えちまって…、で、気付いたらアラームが鳴りっぱなしの状態。寝不足だという。
母さんも起こしてくれたら良かったのに、さっさとパートに行っちまったもんだから、俺はバタバタと支度をすることになった。
「ゲッ、八時十五分?!」
頓狂な声を出す俺に、ランドセルをからった浩介がお先にと手を振って居間を出る。
「兄ちゃん。最後の人は戸締りだからね? 田山家ルール。じゃ、行ってきまーす」
「はあ?! お前っ、兄ちゃんは学校遠いんだぞ。お前は小学校近いじゃんっ…、ああくそ、逃げやがったな!」
俺はガックシ肩を落としてカッターシャツのボタンを留める。
どうせ急いだところで間に合う時間じゃない。
落ち着いて遅刻してやる。
ああしてやるとも。やけくそだ。
食卓に用意されているロールパンを掴んでそれを齧りながら、俺は天気予報に目を向けた。
ふーん、今日は一日中晴れ。
あ、でも夜から雨が降るのか。
今週は天気が崩れやすいっぽい。
チャリ通には痛い天気だな。俺は雨でも合羽着てチャリを漕ぐんだけどさ。
「ま、今日は晴れているみたいだし。合羽はいらないだろ」
俺は携帯と鞄を取りに自室に向かった。
メールを確認してみるけど受信ボックスには何も残っていない。
昨日送ったメールはシカトされているみたいだ。
不気味な迷惑メールに身震いしつつ、俺は学校に行ったら即仲間に相談することを心に決める。
何事も迅速に行動を起こすべし、だよな。
テレビを消し、戸締りをして家を出た俺は愛チャリのカゴに鞄を入れて鍵を解除。
片隅で時間を気にしながら、車庫からチャリを出してペダルを漕ぎ始める。
「一時限目には間に合うだろうけど、SHRには間に合わないだろうな」
また前橋のお小言を頂戴しそう。
想像できてしまうから俺の口から溜息が零れたり、である。
反省文を書かせられたらどうしよう。
気鬱な気持ちを抱きながら住宅街を突っ切る。