青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
俺は動きを止めて、「じゃあ」あんたがあのメールの、目を白黒させてそいつを凝視する。
「あんたじゃないよ」
ぼくは里見と呼ばれている男さ。
仲間からはカズサって呼ばれているけどね、目を細めてくる里見に俺は危険を察知した。
やばい、こいつから一刻も早く離れないとなにか不味いことが起きる。
なんだ、このヤな予感は。
「なにか、俺に用でも?」
「そんなに怖がらなくてもいいじゃないか。ぼくは何もしないよ」
へえ、ぼくは…ね。
じゃあ俺の背後に回ってきた方は何かするとでも?
俺はガタイの良さそうな青年に冷汗を流した。
パッと見、一般人に見える。
だって髪、ナチュラルブラックだし。
けどオーラは完全に敵さんだと教えてくれた。
「間宮のミヤって言ってね」
ぼくの大事な相棒なんだ、里見は軽快な口調で紹介してくれた。
「君の事は知っているよ。田山圭太、荒川庸一の舎弟で異色の舎兄弟で名が通っている。荒川とは随分馬が合っているみたいだね。不良とつるんでナニが面白いのか。理解しがたいや」
「なるほど。でも俺はあんた達のこと、一抹も存じ上げていないのですが」
「名前は教えただろ? まあ簡単にだけど」
「……、なあ。まさかあんた等、健太の一件に噛んでいるわけじゃないだろうな。どーもメールのやり方が、あいつの事件と似ている気がするんだけど」
「聡い子だな」
ぼくは嫌いじゃないよ、そういう奴、里見は深い笑みを表情に滲ませた。悪意ある笑みだ。そしてそれは敵意ある笑み。
あっさり態度で肯定する里見に、ストーカーはあんた達だったのか、と俺は奥歯を噛み締めた。
「ストーカーとは失礼な」
彼を狩っただけさ、キャツは嘲笑する。
獲物を弱らせるのは狩りの基本だとのたまうド阿呆に俺は眼光を鋭くする。
狩るってなんだよ、狩るって。
あいつがどんだけ恐ろしい思いをしたのか、お前等、知らないだろ!
今も一人で登校するのが怖くて、魚住といつも登校しているんだぞ。
情けないって落ち込んでいるあいつの気持ち、何も知らないだろ!
「よくも健太を」唸る俺に、「自分のことを心配した方がいいよ」だって君も狩られる人間だから、里見は鼻で笑ってきた。
次の瞬間、背にいた間宮という男から肩を掴まれる。鳩尾に強い衝撃。脳天にも衝撃と音が響いて俺の視界はブラックアう―――…。