青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―


「なんかあったら言えよ。巷を騒がせている不良の件もあるし」

「ヨウちんやしゃしい。惚れても?」

「惚れてもいいけど、愛はやんねぇぞ。俺はオンナが好きだ」


つれないとおどけるワタルは、渡り廊下から外を見つめ、「土砂降りだね」と天候の悪さに眉根を下げた。


二日前から雨天ではないか。

これでは外で遊べない。


ぶうぶう唇を尖らせるワタルに、

「テメェは外で遊ぶタイプか?」

ヨウがツッコむ。

ちゃんと遊ぶタイプだとワタル、喧嘩は晴れ渡る空でやりたいではないかと拳を見せてくる。

スポーツも好きだとワタルは訴えるが、ヘーキで反則するタイプだろと鼻を鳴らして先を歩いた。


ワタルと共にいつものたむろっている体育館裏に足を運ぶと、屋根のある渡り廊下で飯を食っている仲間を見つける。


「ヨウさーん!」


手を振ってくるモトとは対照的に、

「ウ゛ッワァアア!」

今日もいないのかと絶叫するキヨタ、両膝をついてずーんと落ち込んでいる。まさしく今の空模様と同じ。


グズグズと鼻を啜るキヨタを宥めつつ、ハジメが手招きしてきた。

弥生もポッキーの封を切って手招き。


いつもの光景に一笑し、ヨウはワタルと共に自分達の居場所へと足を伸ばした。
 


なんてことのない一日だったと思う。

調子ノリが病欠で休み以外は、弟分や仲間達とワイワイガヤガヤ。

話題は多々あったが、最近迷惑メールが増えたのだと弥生が愚痴ったため話題はそれ中心になった。

自分もなのだとヨウが告げると、他の仲間達も同調。

メアドを変更するべきかもしれないと各々愚痴り、それはお開きとなった。


すぐ記憶から忘れられてしまう話題の一部に過ぎなかった。


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