青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
午後。
真面目に授業に出席したヨウ(とはいえ睡眠学習が主だったが)は、SHRまできっちり出て学校を後にする。
向かう場所は勿論自分達の憩い。
雨が降っているとはいえ、ゲーセンよりも気兼ねなく駄弁れる倉庫裏は一番のお気に入りだった。
そこで特別何かをすることもなく、ヨウは仲間達と時間を過ごした。
調子ノリがいないせいで、やや静かに思えたが明日には賑やかになっていることだろう。
そんなことを思っていると、ココロが浮かない顔で携帯画面を見ていた。
もしや彼氏にメールでも?
彼女に声を掛けると、「いえ」迷惑メールが来ちゃって…、ここ数日多いのだと肩を落とした。
ココロも悩ませているのか、皆でメアドを変えなければいけなくなるかもな、と冗談を口にするヨウに、ココロは微苦笑。
「でもこれ、変なんです。迷惑メールって無差別で送られてくるものなんですよね?」
「変? 何が」
ココロはメールを見せた。
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「何がおかしいんだ? 普通の迷惑メールじゃねえか。もしかしてココロ、ケイを捨てて新たな彼氏でも欲しいのか?」
「ち、違います!」
何を言うのだと食い下がるココロは、このメールに記載されている文面が毎度違うのだと唇を尖らせる。
毎度迷惑メールに目を通しているのか。ヨウは驚きを隠せない。自分ならば見ずに削除してしまうメールなのだが。
しかしココロは律儀に目を通しているらしい。
そしてこのメール、何かがおかしいのだと呟く。
まるで自分個人にメールを送っているような、そこまで吐露した後、「考え過ぎですよね」ココロは自己完結してしまう。