青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―


おばさんはこれから何を癒しに家事をしていけばいいの?!


わざとらしく悲しむ素振りを見せる彼女は、まごうことなきケイの母親である。

「ケイのお母さんだなぁ」モトはしみじみと感想を述べ、「ノリはお母ちゃん譲りっス」キヨタはグッと握り拳を作った。やや感動している様子。


よっこらっしょ。

掛け声と共に立ち上がるケイの母親はヨウ達に礼を告げ、買い物袋を受け取る。

見事に服が濡れてしまっているがなんてことないらしい。

此処まで車で来たそうだ。
すぐそこに停めているため、荷物も自分で運べると綻ぶ。
 

「庸一くん、また遊びにいらっしゃいね。いつでも歓迎するから」
 
「あんがとおばちゃん。いっつも唐突に邪魔してごめんな。良くしてくれるからもう半分、我が家みてぇになってるんだけど」


「うふふっ。それは嬉しいことよ。私こそありがとうね。いつも来てくれるから我が家は賑やかよ。
圭太、庸一くんや静馬くんとオトモダチになってから、とても活発的な子になったわ。毎日が楽しそうなの。ちょっと元気過ぎるけど、ご愛嬌ってところね」


不良にも偏見なく接するケイの母に、またお邪魔するとヨウは笑った。

「基樹くんと清隆くんも家に来てね」

愛想よくケイの母はモトとキヨタにも声を掛ける。


「おばさんの手料理でいいなら、ご馳走するから。ちょっと我が家は煩いけれど。
それにしても両手に若い子、いいわよね。若い子と接するとおばさん、十年若返る気分になるわ」


「(このノリ、ほんっとケイのおばちゃんだよな。この人。母親っての、納得できる)」

「(楽しいお母ちゃんっス。さすがはケイさんのお母ちゃん!)」


「まったまたぁ。おばちゃんも若いくせに」

「まっ、庸一くん。おばさんを口説くと狙われるわよ。イケメンくんなんだから、とくに危険だわ!
……あ、そうだ。庸一くん、静馬くんに会うかしら?」
 

斜め掛け鞄からメモを取り出し、シズに渡して欲しいのだとケイの母は告げる。

曰くこれは自分のメアドと電話番号らしい。

何かあった時のために連絡先を書いておいたとか。一人暮らしを心配しているケイの母らしい気遣いである。

「帰りに寄ろうと思ったんだけれど」

ヨウに渡しておいた方が手に渡るのが早いだろうと、ケイの母は踏んだらしい。

「庸一くんも登録しておいていいから」

何かあったら気兼ねなく連絡していい、それこそデートの誘いも受け付けると綻んでくる。

イケメンとこっそりデートなんて密会のようだとケイの母、

「おじちゃんが聞いたら泣くぞ」

ヨウは苦笑しながらそれを受け取った。
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