青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―


「な、なあ」

震える声音でヨウはシズの肩に手を置き、正直に答えてくれと相手に懇願した。

もしもシズがケイとタッグを組んで嘘をついていたのならば、それはそれで笑い話になる。

二人してなに密会をしているのだと笑い話になるから。


だからヨウは相手に切望しながら聞く。

ケイはお前の部屋に泊まっているか? と。



―――…答えは否だった。


 
目の前が真っ暗になったような、そんな絶望に近い、大きな不安がヨウを襲う。

「嘘だろ?」今なら冗談で済まされると言うが、「本当だ」まだ片付けは済んでいない、落ち着いてから皆を呼ぼうと思っていたのだとシズ。

口内の水分が急激に飛んでいく。


足の感覚が自然となくなってしまうのは、大嫌いな雨が降っているせいなのだろうか。


湿気た体をそのままに大きく動揺するヨウを見かねて、今度はシズが質問者に立つ。

ケイがどうしたのか? と。

やや間を置いて、ヨウは口を開いた。


「さっき、スーパーでおばちゃんに会ったんだ。ケイ、お前の家に泊まってるって…」

「ケイが…? だが…、自分は風邪だと」

「ああ。俺もだよ、俺も風邪だってメールを貰ったし、メールを返した。でもあいつは家にはいない。おばちゃんが嘘つく筈ねぇ。嘘ついてるのは…、ケイだ」

 
キヨタとモトが遅れて倉庫に入ってくる。

傘を畳んで中に入る彼等は、リーダーが既に事態を皆に告げたのだと察した。

殺伐とする空気がそれを物語っている。


「そんな」


どうしてケイさんが嘘を…、ヨウから伝染してまったようにココロも動揺し始める。

響子がココロの肩に手を置いて宥めるものの、彼女の体は微動していた。

親とチーム、双方に嘘をつくほど彼も器用な人間ではない。

簡単な嘘はすぐにばれてしまう。

彼だって知っている筈。


なのにケイは嘘をついた。

これは一体どういうことだろうか。
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