青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―

 
事情を聞いたハジメは少し冷静になろうとリーダー、副リーダーの間に割って入る。
 

「誰か。この二日の間にケイに電話、もしくは直接会った人はいる?」
 

誰も手を挙げようとはしない。

メールはしたがそれ以上の連絡はしていないと、チームを代表してキヨタが告げた。

理由は一つ、相手が体調不良だと知っていたから。

電話は迷惑だと思ったのだ。


眉根をハの字に下げるキヨタに、動揺しているココロも同調する。舎兄のヨウもそれは同じだった。


冷静に状況を分析するハジメは、「メールでは普通だったよね?」とメールをした者達にクエッション。

肯定の返事を聞き、ハジメはココロにメールを打ってもらえるよう頼めるかと話を切り出した。
 

「ケイだと断言できるような質問をして欲しいんだ。なんでもいい。ケイとココロの間で話せる話題をさり気なく振って」

「え、あ…、それはいいですけど。でもどうして」


「本当にケイが僕達にメールをしているのか、それを知りたいんだ。
メールって相手の顔も特徴も伝わってこないからさ。
かと言って、いきなり電話をしてしまったら連絡が途絶える可能性がある。

まずは真偽を確かめたいんだ」
 

なるほど、少し冷静になったヨウはハジメの意見に納得する。

ケイのついた嘘について動揺するのではなく、嘘による本人個人への疑惑、それにハジメは目を向けたのだ。

さすがはチームの頭脳派である。

ココロを中心に輪になって座る皆は、彼女のメールを覗き込む。

密集度の高い中、ココロは『この間の夕飯でピーマンを出してしまいごめんなさい。今度は食べられるよう調理するので、食べて下さいね』とメールした。


ヨウはケイが大のピーマン嫌いだということを知っている。

食べられないことはないが、皿に寄せてしまう傾向があり、母親によくお小言を貰っている。


返信は五分程度でやって来た。


┏━━━━━━━━━━┓
 From:田山圭太
 件名:がむばる!
┣━━━━━━━━━━┫

 この間はごめんな><

 今度はちゃんと
 大嫌いなピーマン

 完食するから!!
 
 と、宣言はしておく(…)
 
┗━━━━━━━━━┛ 


ケイらしいメールである。


やっぱり本物なのか。ヨウが顔を顰めた刹那、ココロが青褪めて携帯を落としてしまう。

静まり返る倉庫内、ココロは首を横に振って、ケイさんじゃ…ないと告げた。

彼女は両手で顔を覆い、この人は偽者だと断言する。


< 591 / 804 >

この作品をシェア

pagetop