青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
事情を聞いたハジメは少し冷静になろうとリーダー、副リーダーの間に割って入る。
「誰か。この二日の間にケイに電話、もしくは直接会った人はいる?」
誰も手を挙げようとはしない。
メールはしたがそれ以上の連絡はしていないと、チームを代表してキヨタが告げた。
理由は一つ、相手が体調不良だと知っていたから。
電話は迷惑だと思ったのだ。
眉根をハの字に下げるキヨタに、動揺しているココロも同調する。舎兄のヨウもそれは同じだった。
冷静に状況を分析するハジメは、「メールでは普通だったよね?」とメールをした者達にクエッション。
肯定の返事を聞き、ハジメはココロにメールを打ってもらえるよう頼めるかと話を切り出した。
「ケイだと断言できるような質問をして欲しいんだ。なんでもいい。ケイとココロの間で話せる話題をさり気なく振って」
「え、あ…、それはいいですけど。でもどうして」
「本当にケイが僕達にメールをしているのか、それを知りたいんだ。
メールって相手の顔も特徴も伝わってこないからさ。
かと言って、いきなり電話をしてしまったら連絡が途絶える可能性がある。
まずは真偽を確かめたいんだ」
なるほど、少し冷静になったヨウはハジメの意見に納得する。
ケイのついた嘘について動揺するのではなく、嘘による本人個人への疑惑、それにハジメは目を向けたのだ。
さすがはチームの頭脳派である。
ココロを中心に輪になって座る皆は、彼女のメールを覗き込む。
密集度の高い中、ココロは『この間の夕飯でピーマンを出してしまいごめんなさい。今度は食べられるよう調理するので、食べて下さいね』とメールした。
ヨウはケイが大のピーマン嫌いだということを知っている。
食べられないことはないが、皿に寄せてしまう傾向があり、母親によくお小言を貰っている。
返信は五分程度でやって来た。
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From:田山圭太
件名:がむばる!
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この間はごめんな><
今度はちゃんと
大嫌いなピーマン
完食するから!!
と、宣言はしておく(…)
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ケイらしいメールである。
やっぱり本物なのか。ヨウが顔を顰めた刹那、ココロが青褪めて携帯を落としてしまう。
静まり返る倉庫内、ココロは首を横に振って、ケイさんじゃ…ないと告げた。
彼女は両手で顔を覆い、この人は偽者だと断言する。