青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
「ケイさんっ。私の家に来た時、ピーマンを完食したんです。ピーマンは苦いから苦手って言っていたから、皮を剥いてあげて…っ、そしたらケイさん…、美味しいっておかわりまでしてくれたんです。
そうじゃなくたって、今までケイさんは一度たりとも私の手料理を残したことないんですよっ」
例え苦手な食材を使っても、彼は平らげてくれた。
「じゃあ、こいつは…」
偽者なのか。
ヨウの呟きは沈黙する倉庫に溶け消えてしまう。居ても立ってもいられなくなったヨウは、ケイ宛にメールを作成する。
内容は率直なメール。
「お前は誰だ。ケイじゃねえだろ」という突拍子もないメール。
すべてネタはあがっているのだとメールを打ち、皆にこの文面で良いかと同調を求める。
どうせこのまま偽田山の相手をしていても一緒だ。
だったら真実を追究するしかない。
皆の同意を得られたため、ヨウは舎弟宛にメールを送信する。
(ケイ…っ)
ヨウは祈る思いで返信を待つ。
メールを待つ間、チームは硬く口を閉ざしていた。ココロにいたっては彼氏に何かあったのではないかと小刻みに震え、それを止めようとはしない。
止めることができないのだろう。
「神様」指を組んで身を小さくするココロの体を弥生が抱きしめる。
慰めにならないらしくココロはただただ震えていた。
それを脇目にヨウは無事でいてくれることを願うしかない。
今は願うことしかできないのだ。悔しいことに。
沈黙を切り裂くバイブ音が鳴った。
ヨウの携帯からだ。
急いでヨウは携帯を開く。
しかし中身をみて憤りを感じるほかない。こんな時に迷惑メールを受信してしまったのである。
「ざけんなよ」
さっさと削除しようとしたその時、キヨタも迷惑メールが来たと苛立ちの声を上げる。
「お前も?」
モトは自分も来たとメールを親友に見せた。
二人はまったく同じ迷惑メールに驚いている様子。
「おい、うちにも来たぜ。迷惑メール。…これ、本当に迷惑メールか?」
「僕ちんにも来たっぴ。件名は『ゲームしましょ』になってるけど」
ヨウは自分宛に来たメールを消さず、文面を読むことにした。