青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
しかし分かっていた。分かってはいたのだ。
一時間以内に場所を特定することは、可能性として一桁に等しいほど困難だということを。
誰しもが分かっていたのだ。
携帯は便利だが、相手と確実に連絡を取れる確証はない。
相手にも都合があるのだ。
現に利二に連絡を入れているハジメは「出ない」と下唇を噛み締め、勤め先のコンビニに出向いてしまった。
バイトだと睨んだのだろう。
帆奈美に電話しているココロも相手と連絡が取れるまで、二十分ほど時間を要した。
ようやく帆奈美と連絡が繋がったというのに、今度はケンが傍にいないときた。
彼と連絡が取れるまでまた時間を要してしまい、結局合わせて三十分のロスが発生。
ココロは半泣きになりながらも、気丈に情報収集に努めていた。
彼女の努力あってかケンこそヒントは持っていなかったものの、何故かヤマト宛にヒントが届いていたと情報を得ることに成功(ケイはヤマトとメアドを交換していたのだろうか?)。
三つ目のヒント『小規模倉庫』を獲得することができた。
けれども結局、唐突過ぎるゲームの終わりはすぐに迎えてしまう。
ワタル、蓮、ヤマトに届いたヒントを集めたところで(ヒント『小規模倉庫/五丁目/北西側』)、タイムオーバー。
指定された時間が来てしまう。
終わりを告げてくるメールが届き、「クソッ」ヨウは携帯を握り締め、その無力さに悔いるしかない。
土地勘があるなしの問題ではない、これは携帯が相手に繋がるか繋がらないか、それが問題視されるゲームだった。
ゲームと呼べるかどうか、それさえも怪しいものである。
タイムオーバーと同時に届いたメールには、『ご苦労様でした♪』という腹立たしい文面が綴られている。
なにがご苦労様だろうか。
一々癪に障る送り主である。
下唇を噛み締めるヨウは、感情のまま壁を叩き、「なんだってんだ」不利極まりないゲームを呪った。呪うほか術がない。
(一時間なんざ足りるわけねぇだろうがっ。ケイっ…、今何処にいやがる)