青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
と、握り締めている携帯が振動する。
メールが届いたようだ。送信者を確認すると表記は『田山圭太』、件名は『参加賞』、中身を開いてみるといつぞかの事件を思い出す…、無残な舎弟の姿。
何処の倉庫かは分からない。
けれど力なく項垂れて四肢を投げ出している舎弟の画像が添付されていた。
文面には『手遅れでした』と綴られている。
目の前が真っ白になりそうだった。
その硬く瞼を閉じている姿も、こめかみから頬にかけて流れている凝結した血も、痣の目立つ顔も。
制服が濡れているようにも見えるが、画像だけでは判断できない。
この画像はチームメートに一斉送信されたらしく仲間は絶句。
一際顔面蒼白しているココロは力なくその場に座り込んでいた。
「け、いさん」
感情の一切を忘れてしまったのか、ココロは茫然と携帯を見つめている。
プルルルルルッ。
彼女の持っている携帯が鳴り始めた。
着信のようだが、「な、なんだろう」ココロはすっかり動揺してしまっているため、何が起きたのか分からないらしい。
そこで傍にいた響子が代わって電話に出た。
表記画面は『田山圭太』、ケイの携帯から誰かが電話を掛けているのだろう。
「もしもし」殺気立ちながら響子が相手に呼び掛ける。
刹那、その空気が霧散。「ケイ、か?」あからさま驚愕した声を出した。
途端にヨウは響子に駆け寄り、ココロの携帯を取り上げると「ケイ!」相手に呼び掛ける。
「ケイっ、聞こえるか? ケイ!」
聞こえてくるのは向こうのノイズと、荒呼吸と、それから複数の笑い声。
「おいケイ!」お願いだから返事してくれよ。
ヨウの切望にも荒呼吸ばかり。返事が無い。
否、
『……、はし…』
はし?
を丸くするヨウに、『と…し、こう』続け様ケイが単語を紡ぐ。
はし、としこう、一体どういう意味だと目を見開くヨウに、キヨタがすかさず反応。
地図帳を開き、「五丁目で。都市交で。橋」目星を付け始める。
まさかケイは自分の居場所を教えようとしているのか。