青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
―――…なんとなく目星をつけた一箇所に胸騒ぎを覚えた。
それは舎兄の勘ともでも称すべき胸騒ぎである。
確信はなかったが、そこに行かなければならない。まさしく直感が疼いたのだ。
都市交の下を潜り、橋を渡り、シズの運転の下、ヨウは彼ととあるコンビニ跡地に赴いていた。
立地条件に合わなかったのか、テナント募集の文字がガラスに貼られている。
此処の倉庫にいるかもしれない、シズは倉庫を探すために先を歩くが、ヨウは途中で足を止めてしまう。
そして不意にコンビニ跡地の傍にある裏道に入った。
そこは細く狭い裏通り、雨のせいでやけに臭いがする。
自分の体温を奪う雨粒を一身に受けながら、ヨウは一歩一歩道を進む。
転がっている空き缶を踏みしめ、破れかけている濡れたチラシを跨ぎ、奥へと進んで行く。
行き止まりが見えた。
酷く劣化した金網フェンスが通せん坊している。
だがよく見るとフェンスは扉式になっている。
誰かが通ったのか、微かに扉が枠からはみ出ていた。
取っ手を引っ張りフェンスを開いて先を進む。
今度こそ行き止まりに到達した。
ヨウは落書きされた壁に目を細め、感情を堪え、その壁の傍で用済みといわんばかりに捨てられている舎弟に歩む。
そっと両膝を折って体躯を抱き起こし、その傷だらけの体と顔を見つめた。
言い切れぬ想いが零れ落ちる。
どれだけ甚振られていたのか、予想も付かないヤラれように息が詰まってしまう。
二日間不在にしていたのだ。
きっとその間に繰り返し暴行されていたのだろう。
繰り返し、くりかえし、くりかえし。
それでも舎弟は大丈夫と言ってくれた。自分のために。
「体。熱いな」
雨に打たれているのに異常な熱を持っている。発熱しているのだろう。
ふとヨウは舎弟の左手首への異変に気付く。
雨樋パイプと舎弟の左手首が輪と鎖で繋がれている。逃げないようにするための策だろうか。胸糞悪い。