青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―
これからどうする?
決まっているではないか。報復するのだ。
しかし響子の言いたいところはそこではないだろう。
報復する過程を尋ねてきているのだ。
「情報が足りねぇんだよな」
ヨウは煙草を銜えたまま、意見する。
向こうでココロの動く気配がした。空気の入れ換えをするようだ。
喫煙者が二人もいるため、煙たくなったのだろう。
耳障りな雨音が鼓膜を打ってくる。
「ケイを軟禁、いや監禁した輩の情報が一抹も手に入ってねぇ。
なんの目的でケイを監禁しやがった。二日も監禁したその理由は。俺達を挑発してくるその目論見はっ…、悪い。話が逸れた。
俺達にゲームを仕掛けた輩のメアドも、もう通じねぇ。
ケイを甚振るだけ甚振って、俺等をおちょくるだけおちょくって姿を晦ましやがった」
もしや巷で騒がれている不良を甚振っている輩の仕業か。
目を細めて宙を睨むヨウに、「ケイの携帯に」何か手掛かりはないかな、弥生が静かに口を開いた。
それをハジメは可能性はゼロに等しいだろうと否定する。
首謀者はご丁寧にケイのブレザーに携帯を戻している。
ということは、証拠はすべて削除しているだろう。
「でも一応確認はするべきじゃ」
ココロは彼氏の濡れたブレザーから携帯を取り出し、話し合っているヨウ達に歩んで舎兄にそれを差し出した。
受け取ったヨウは中身を開いて確認する。通話履歴を見るがチームメートや家族、彼の友達の名前しか表記されていない。
メールの受信・送信ボックスには自分達とやり取りした二日分のメールが。
手掛かりになりそうなものはなにもない。
「なにもないか」溜息をついて、下書きを開く。
目を削いだ。三日前の夜付けでメールが作成されている。
宛先には自分の名前が。
指をボタンに掛けてメールを開く。
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To:荒川庸一
件名:ちょっと相談
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俺の携帯にさ
迷惑メールが
届いているんだけど…
そのメール
ちょっと変なんだ(汗)
俺が荒川の舎弟だって
分かった口振りのメールで
どうすればいいかなこれ
めっちゃ怖いんだけど
もしかしてこれ、す...
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―――…迷惑メールに悩まされている、相談のメール。