青騒のフォトグラフ Vol.2 ―夜嵐の不良狩り―

すると弥生が自分が管理者になるから大丈夫だとヨウに告げた。

彼女自身、様々なブログをしているらしい。

より安全性が高く使いやすいブログを見つけるから安心して欲しい、弥生はそう言ってまずはメアドを変更しようと全員に述べた。

メアド変更後、すぐブログを作成してURLを送る。

それくらいのメールなら一斉送信しても大丈夫でしょ、彼女は苦笑いを零して物申した。

それもそうだ。此処には仲間全員が集まっているのだから。


「いいかテメェ等。書き込みパスワードとID、閲覧パスワードは頭に叩き込め。
どうしても覚えられねぇなら、紙に書いてメモしろ。
携帯のメモ帳やメールで保存しようとするな。
仮に携帯を盗られた場合、ブログを知られて閲覧されたら、また別のブログに変えないといけねぇからな」

 
予防線はしっかりと張っておきたい、ヨウの心情にチームメートは同調する。

ケイには後日この方針を教えるとして、早速メアド変更をする。

弥生がブログを作成し、書き込みのやり方を皆に伝授。

送ったURLからブログに飛び、それをブックマークして全員がテスト記事をアップしてやり方を覚える。


すべてを終える頃には既に五時に差し掛かっていた。


今日も学校があるのだが念頭にもなく、ほぼ徹夜で時間を過ごす。

「少し休憩しようぜ」

張り詰めた空気を裂くように響子が腰を上げたため、空気が緩和される。


「シズ、珈琲はねぇよな?」

「悪い…、何もまだない」

「んじゃあ何かコンビニで飲み物を調達してくる。弥生、付き合ってくれるか?」
 

うんっと首を縦に振り、弥生が立ち上がる。

全員珈琲でいいかと聞く響子に、「僕ちんコーラ」手を挙げるワタル、シズはサイダーがいいと飲みたい物を告げた。

了解だと肩を竦める響子は残りは珈琲でいいな、と再度尋ね弥生と共に外に出る。

開放されている窓の向こうは朝日が染み渡っていた。

雨は上がったらしい。



「今日は晴れるでしょうね」 
 


吐息をつくココロはケイの腕が毛布から出ていることに気付き、その腕を取った。

「あ」ココロは悲しげに瞳を揺らす。

左手首に金属の輪がくっ付いている。それに気付いたシズが、どうしても取れなかったのだと謝罪してきた。

連結された鎖を切ることには成功しても、その手首についた輪はどうしても。


ココロは何も言わず、腕を折りたたんで毛布に入れた。

熱を測ってみると九度八分のまま。


この二日間、飲み食いはしていたのだろうか?

憂慮が胸を占める。
 
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